車椅子旅行は楽しい!

パッケージ旅行とは違う、「個人でプランを立て」「自由な発想の」「安上がりな」「車椅子旅行のススメ」
「車を運転している時は、自分が左半身不随であることを忘れられる」と言う、17年前に脳出血で倒れ車椅子生活者となった夫との車椅子旅行は、幸せの宝庫です。

満喫したパリ車椅子旅行の新しい発見:

 招待先のみなさんがパリ滞在中は見事なまでの配慮をしてくださり、私たちの3泊5日の「棚から牡餅」パリ車椅子旅行は、最初から終わりまで、楽しいものでした。


 すべてが順風満帆だった訳ではありません。まず空港を出るまでに、おっ経験をしました。ですがそれは、今考えれば愉快な経験と言っていいのかなあ。


 ANAが発着するパリ・ドゴール空港の第一ターミナルには、飛行機の乗降口から階下にある荷物のピックアップ場所まで、エレーターはありません。写真のようなスロープがあるだけです。JALの第二ターミナルにはエレベーターがあるそうです。
 日本でも大きなスーパーでスロープを時折見かけますが、車椅子用のエレベーターも別にあります。それにスロープは、こんなに長~くはありません。

 信ちゃん(夫です)はこの長~いスロープを見て、「本当にここを降りるしかないの?怖いよ」と言いました。写真は帰りの時のものです。
 到着時には、若い小柄な女性が担当してくれました。彼女は一生懸命、大丈夫だと言うのですが、私たちにはスロープを前に、乗る決心がつきませんでした。そこに、日本人の女性現地スタッフが通りかかり、通訳をしてくれました。
 「彼女は車椅子を扱う、特別な訓練を受けていて、ライセンスも持っています。これまで何度も車椅子のケアをしたので任せてくださいと言っています。それに私が知る限り、このスロープを使用する、地上には出られません」
 説明を聞いて、信ちゃんは意を決したようです。「行こう」と言いました。
 写真のデカイ男性は信ちゃんに「ストッパーをはずして」「ストッパーを締めて」と、立ったまま腰をかがめることさえせず、最後まで信ちゃんの頭の上から言い続けました。
 しかし・・・到着時に付いてくれた若い女性は動き出すとすぐに信ちゃんと向き合う形で車椅子の前に跪き、両手でがっちり車輪を掴んでストッパーを外し、そのまま車椅子と共に後ろ向きでって行きました。
 私はびっくりして、写真を撮り忘れました。残念!!!!
 フラットのところに来ると立ち上がり、すぐに信ちゃんの後ろ手に回ります。

 昇りになると小さな体を屈めてすばやく左右のストッパーを締め、頂上に到着する直前にストッパーを再び屈んで外しました。信ちゃんはただ、車椅子に座っていれば良いだけでした。自分でストッパーに触れることはありませんでした。

 さすがにこのデカイ男性も昇りでは後ろについていましたが、それでもストッパーは信ちゃんに外させ、締めさせました。ニャロメ!!!
  信ちゃんは次回は、一人で対応出来るといいますが、ANAさん、最初から教えてくれていたら良かったのに。気遣いないなあ。


 「棚から牡丹餅」ツアーの最初の二日間のホテルは、シャトー・ホテルでした。フランスのシャトー・ホテルは、スペインのパラドール

や、ポルトガルのポウザーダ

と同じように、由緒ある建物(修道院・城・大邸宅など)をホテルにしています。下の写真は、信ちゃんがまだスヤスヤ寝ている間に散歩に出かけた朝六時に、玄関前で撮影したものです。

 信ちゃんいわく、「ディズニー映画に出てくお城みたいだ」だそうです。確かに。
 バリアフリールームに泊まったのですが、何ゆえか、トイレの手すりが左側にしかありませんでした。信ちゃんは左半身麻痺です。右に掴むところがなく信ちゃんはあせりました。
 不思議な事に、この後に宿泊した大手チェーンのパリ市内のホテルも、空港の車椅子用トイレも、手すりは左側のみでした。


 忘れてました。
 ドが高い。150センチの私などは、ベッドによじ登り、降りるときは足がつかないので軽く飛び降りました。信ちゃんも「落ちないようにしないとね」と、寝心地は良いベッドでしたが、高さには閉口しました。

 装具を着ける時には、私が手伝って信ちゃんの肩を押さえながら足を膝の上に乗せないと駄目です。枕や椅子のクッションを取り外して足の下に置いたりもしたのですが、不安定なので止めました。


 そうそう、ホテルのエレベーター。見ての通り、「close」のボタンがありません。いつまで経ってもドアが閉まらず、あせりました。FBにこの写真を載せたら、友人たちからいろいろな反応がありました。正解は、ボタンを二度押しする、です。

(1)アメリカでもだいたい同じですよ。
(2)オランダではほぼ、閉めのボタンはありません。その方が安く作れるらしいですw
(3)事実かどうか確認していませんが、日本のエレベーターのボタンで一番故障の多いのが「閉」だと聞いたことがあります。
(4)日本の三菱エレベーター、二度押しはキャンセル、となります。
(5)日立も同じく。来年のオリンピックの公式のエレベーターは、MITSUBISHIです。


 いろいろな反応の中で、前回の投稿に登場したパリに詳しい親友のコメントが最高でした。
(6)フランスでは分では閉めないの。自動で閉まるまでお喋りしたりしてーっとして待つの。


 今回のパリ旅行の大事な目的の一つは、2024年のパリ・オリッピックのメイン会場となるスタッドドゥスタジアム視察です。
 まずは入り口で、案内の人を待ちます。

いよいよ、スタジアムの中に入ります。

 札幌ドームの方を含め、みんなが見上げているのは、スピカーの位置です。

 スタジアムにはこのような車椅子用の席が何箇所も確保されていて、ここは一番高い所にある席です。
 スタジアムに入って最初に感じたのは、草いきれでした。人工芝ではなく、生の芝生。手入れが大変だが、それだけの価値はある、と言うことでした。グランドにあるのは水撒き機ではなく、日照時間が短くなる冬に備えてのライトです。

 
 スタジアムの後は、アトリエ ドゥ ルエール

 丁度ゴッホのプロジェクトマッピングをやっていて、信ちゃんと二人で惹きこまれました。「ゴッホの筆圧や、色使いの個性が良く分かって面白かったね」


 いよいよ最後の日になりました。お待ちかねのランチを食べながらの「セーヌ川クルーズ」です。初めてパリに来た時お金がなくて、見ているだけだった船。二人だけの車椅子旅行だったらまず乗らなかったであろう船。いろいろな思いを抱き、おいしいランチをいただきました。

 これが、本家の自由の女神だそうでが、小さくてなんだか可哀想でした。


 三日目のパリのホテルは、エッフェル塔の近くでした。歩いて行けるエッフェル塔が見えるレストランでのディナーの後、ホテルまで散歩をしたのですが、あまりの観光の多さに驚きました。
 シャッターを押してくれたレオさんに、「あなたたちの顔がよく見えませんが、主役はあくまでエッフェル塔なのでこれでいいですよね」と言われた写真です。
 車椅子の右車輪の真ん中に見える光は、夜の外出時に信ちゃんご愛用の、Amazonで購入した自転車用のライトです。とても明るく、便利です。

(2019年10月25日 パリ)

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