実は突然、久米島に行って来ました。(二)
「久米島に行く」と兄に報告すると、即、「どこにあるの?」と聞かれたので、まず場所を。
ここです。那覇からフェリーで3時間から3時間半ほどです。
今回私たちが原因で、生まれて初めて飛行機の出発を40分遅らせました。
責任の一旦は、私たちにもあるの?
暖かくなったら少し長めの散歩を楽しもうと、先月から電動車椅子のバッテリーを2つ借りています。今まで一度もバッテリーを2個持って、飛行機に搭乗した事はありません。
飛行機には、自分の電動車椅子で搭乗口まで行き、乗り込み、降りるときにはまた、搭乗口まで持って来て貰います。乗り換え時間が2時間ほどしかない場合は仕方がないので、以前は預けていました。ところが、2年前にロンドンからマンチェスターへの乗り換えで、預けた車椅子を積み忘れられました。その顛末は
で書きました。
以来、信ちゃん(夫です)は絶対に、飛行機に乗っている時以外、「僕の電動車椅子」を手放しません。乗り換え時間も、必ず2時間以上を確保するフライト・スケジュールを組みます。そのため去年同様、今年も5月にスペイン・バレンシアにフランクフルト経由で飛びますが、フランクフルトで5時間の待ち時間となります。
5時間も何をするか、ですか? ウトウトしたり、空港を探索したり、BSの大好きな番組「駅ピアノ」
の舞台のピアノを見つけたり。楽しいです。
さてさて。
空港に着いていつものように今回も、
で、チェックインをします。毎回毎回同じ事を聞かれるので、いいかげんうんざり。今回も車椅子のサイズを聞かれました。むっとしたので答えたその後に一気に
「バッテリーを二つ持っていて、一つはトランクに入っています。もちろんバッテリーはニッケル水素です」と言いました。
きっと難関を通って採用された、才色兼備のお嬢様方なのでしょうね。3人揃って笑顔で頷きました。
このお嬢様方、本来、その時点でバッテリーを私たちのトランクから出して、「ニッケル水素」かどうかを自分たちの目で確かめなければならなかったのでしょうが、そうはせず、そのままトランクのチェックイン手続きを続けました。
お約束の搭乗前のトイレを済ませ搭乗カウンターに行くと、男性社員が慌てて近づいて来ました。
「お客様のトランクはどのような形状でしょう?チェックインされた二つ目のバッテリーがニッケル水素かを私どもで直接確かめませんでした。こちらの落ち度です」
私は出来るだけ詳しく説明しました。「黒のKiplingの機内持ち込みが出来るサイズです。さっき、ビニールで包むと言ってましたよ」
30年以上前、アムステルダムでKipling
のバッグに出会って以来、私たちの旅行かばんはすべてKipling製。軽くて丈夫で、30年前のバッグ、今も使っています。今は本当にカラフルでいろいろなデザインがありますが、当時はシンプルなものでした。正直、以前のようなシンプルなKiplingの方が好みです。
座席に座り出発を待ちます。飛行機の出発が遅れるというアナウンスがありましたが、その時はまだ、それの原因が私たちのバッテリーだと気付きませんでした。
それからしばらくして、搭乗カウンターの男性が座席まで来て「申し訳ありません。お手数ですが搭乗口までおいでいただき、確かめていただきたいのですが」と言われました。
ん、ん、ん?
席を立ち搭乗口に行くと、私たちのKiplingが開けられていました。
「バッテリーはどこでしょう?」
「そのシャツにくるんであります」
よかった。結構きれいにトランクに荷物を詰め込んでおいて。ほ、ほ、ほ。
「ほら、そこ」と、手を出そうとすると、慌てて「手を触れないで下さい!」と、男性は結構必死な声を上げました。はい、はい、はい。
こうして無事、二つ目のバッテリーも「ニッケル水素」だと確認すると男性は本当に恐縮な様子で「こちらの不手際でお手数をかけました」と言いながら何度も何度も頭を下げました。
私たちは急ぐ旅ではなかったので、それなりに面白い経験だったと思ったのですが、ほかのお客様にはほんと、いい迷惑。
座席に戻り、それから15分ほどして何度目かのアナウンスがありました。
「みなさん、お待たせしました。出発の準備が整いましたので・・・・」
やれやれ。
今回のバッテリー騒ぎ。今年に入っての二度目のビックリ。ETC
の件同様に、私たちの無知が招いた部分もあると思い、多少、反省しています。
車椅子旅行は本当に、奥深いですね。今年で14年目に入りましたが、まだまだ未知のことが沢山あると気付かされました。だからこそ、車椅子旅行は面白く、楽しい!
飛行機の時間の関係で、那覇の泊港で一泊して、翌日の8時半のフェリーに乗りました。
ホテルの部屋に入ると雨が降っていたので信ちゃん、2度と外に出たがりません。いつもの事です。おや困った。ホテルのB1にある居酒屋はりゆう
を覗きに行くと、「部屋に出前します」との張り紙あり。
やったね!
メニューを借りて部屋に戻り、時間をかけて信ちゃんと料理を決めました。
聞くところによると沖縄では、ほとんどのビジネスホテルには夜居酒屋になる食堂があり、「出前」があるそうです。ルームサービスなどという、横文字ではないところも気に入りました。
フェリー乗り場まで1分の泊港のホテルでしたが、これまでに貯めたじゃらんポイントを使ったので、無料でした。
翌日は8時半のフェリーに乗るためにホテルを7時半に出発。切符を買った時に、「車椅子の方は45分前に船員さんに声をかけて下さい」と言われていました。
どんな方法で信ちゃんは船に乗り込むのでしょう。
これが、その時の写真です。
プロの方々の手で、見事に船上まで運搬して貰いました。
ですが、よかったのはそこまで。その後は私には地獄でした。雨と風で、船が揺れまくったのです。途中で吐き続けて、胃の中が空っぽになりました。信ちゃんは楽しそうに船の揺れに体の動きを委ねて、右へ左へと動いて乗り切りました。
フェリーには新旧があり、この日は旧型。帰りは新型で、同じように雨も風も吹きましたが、船酔いする事はありませんでした。新型は、車と一緒に後部から乗り込み、運転手さんたちのエレベーターを使わせて貰いました。
新しい方が何でも良いとはいわないが、
久米島へのフェリーは絶対に新型「琉球久米島」号を選びましょう。
車海老の養殖高日本一の久米島に行く前に海老大好きの信ちゃんと、海老の話をしました。海老の話になると必ず、この甘海老漁獲高日本一の羽幌の道の駅食べた「海老丼」を思い出すのですが、今はもうこのメニューはなく、値段も恐ろしく上がっていました。あ~あ。
(2014年8月 羽幌の改装前の道の駅で)


