車椅子と右肩骨折夫婦の北海道車椅子旅行記(前編)
親身になって(または揶揄半分?)、障害者二人の北海道車椅子旅行は無理だから「キャンセルしたら」という優しい友たちの合唱の中、無事、8月19日から9月6日までの、9回目の北海道車椅子旅行を皆さんの愛に包まれ、終えました。
すぐに報告投稿をしたかったのですが、両手でタイプを打つ事が出来ず、何をするにもすぐ右手が痛み、頭が疲れ、10月に入ってしまいました。
10月2日9時現在、東京の外の温度は24度。やっと、極暑の夏が去り、秋が訪れてくれたようです。
今回の旅も新しい出会いや、新しい知識を多く経験させて貰い、ちょい辛い(というか右手が痛い)時もありましたが、幸せでした。
最後の中富良野(3泊)と平取町(2泊)の大好きな常宿と、二人用のハートフルルームがなかった帯広(コンフォートホテルに宿泊)以外、今回は苫小牧、旭川、北見、網走、釧路の東横イン・ハートフルルームを合計10泊しました。
大洗からの出発は幸先が良く、にこにこ出発しました。と、言うのも・・・
2か月前、1時間予約電話をかけ続け、ようやくつながった時には予約済だったバリアフリールーム。上船手続きで窓口に予約番号を伝えると、受付の女性に言われました。
「キャンセルが出たので、バリアフリールームに手続き変更をします。よろしいですね」
もちろんです。よろしいです。嬉しいです、という事で、フェリーは往復、バリアフリールームになりました。
今回、私が一人でレストラン(ビュッフェ)で食事を運ぶことが出来ないので、往復共、二日分の食料を買い込んで上船しました。信ちゃん(夫です)は「レストランにもちょっと行って見たかった」と言いましたが、船代もレストラン代もかなり値上がりした今年。来年はさらに値上がる?かも?なので、あいまいな返事をしました。食料持ち込みなら、節約になります。それと、とても大事な事。食事をするフロアと椅子席フロアの間が、かすかなスロープになっているのです。右肩骨折で歩行が少々アンバランスな私はそこを、何も持っていなくても歩くのがイヤ、というよりも怖かったのです。
苫小牧に到着した日は日曜日でした。苫小牧ではいぜん3回、気に入ったラーメン屋さんに通った事があります。室蘭ラーメンのチェーン「なかよし」の苫小牧店です。
ホテルで場所を確かめると、恐ろしい事を言われました。「苫小牧のラーメン店は全店日曜日はお休みです。というか、商店街はお休みです」「みなさん、夕食はどうされているのですか?」「居酒屋さんか、コンビニでお弁当を購入されます」
「それは嫌だ」という信ちゃんととにかく、近くの苫小牧駅まで歩く事にしました。すると、駅の反対側に駅に隣接した「メガドンキー」というビルの看板を見つけました。
駅からの2階の通路から1階におりると、なんと営業中のラーメン屋さんがビルの東端にありました。やったね。
麺屋「樹」https://tomakomai.goguynet.jp/2021/03/28/menya-itsuki-ramen/
札幌の味噌ラーメンの名店だそうで、確かにおいしかった。信ちゃんと幸せに食べている途中、ある事に気付きました。お客様がレジをさっと済まされるのです。「ん?」
食べ終わりレジに来て、予感が的中しました。「支払いは現金のみでお願いしています」
メガドンキーならカードが使えると思い込み、その時私は現金を持っていませんでした。一瞬ひるみましたが、すぐに思いつきました。
私、信ちゃんを人質にして、ホテルに現金を取りに戻る事にしたのです。
慌てて戻ってみると、信ちゃんはホールのおばさんと楽しそうに話しています。
ご主人が襟裳出身で、信ちゃんが「昆布博士」になる出会いを作ってくれた襟裳の宿から見た昆布を干す風景から始まり、「日高・羅臼・利尻・松前・竿前」など昆布の話で二人は盛り上がっていました。
ホテルに戻ってこの話をすると、フロントの女性が爽やかに「私も、樹のラーメン好きです。ああ、あそこは日曜日も開いていますね。それと北海道のラーメン屋さんは現金だけの所が多いです」(最初から、言ってよ!)
(羅臼や利尻に比べて長い襟裳の昆布干し風景)
以来、現金を持ち歩くようにしています。東京でも。それが功を奏して、9月29日に訪れた国際福祉機器展でも慌てずに済みました。その話は次の機会に。
旭川はお互い、初めてではありません。それぞれ何度か訪れています。車椅子になって初めての北海道の旅も、旭川に飛行機で飛びました。旭山動物園を目指して。
その時の経験は、このブログを書き始めて最初の頃に投稿しました。
よろしければ、是非、私たちのその後の車椅子旅行の在り方に大きな影響を与えて下さった旭山動物園のお二人の事を書いているので、お読みください。
旭川では2度目となる大好きな旭川ラーメンの名店「山頭火」で醤油ラーメンを食べるほか、特に計画はありませんでした。それに加えて今年は東京よりも暑かった北海道。私たちが訪れた時には「極暑」。日中は37度まで跳ね上がりました。
そんな中、一度ホテルで車椅子を降ろしたら、車椅子の出したり入れたりには「人の手」を必ず借りなければならない状況だったので、ロビーにあったパンフレットをかき集め、ホテルから歩いて行ける「何か」を二人で探しました。
そして、旭川市博物館に出会いました。
36度の中、汗だくになりながら車椅子と右肩骨折の夫婦は、駅前から左折して忠別川にかかる「クリスタル橋」(なぜこのような名前なのかを知りたかったのですが、分かりませんでした)を越え、それこそ「ふうふう」言いながら左手にある博物館にたどり着きました。
平取の二風谷博物館は
何度も訪れています。そのほか北海道各地のアイヌ資料館も訪れました。かなりアイヌについては詳しいつもりでしたが今回、旭川博物館で「上川アイヌ」に出会い、「目からうろこが落ちた」ほどの、新しいアイヌとの出会いがありました。
「上川アイヌについてにもっと知りたい」。信ちゃんに新しい北海道旅行での命題が増えました。
博物館の帰り、「山頭火」に寄りました。20人ほどの人が並んでおり、ハングルや中国語が聴こえてきます。新しいビルに移転しており、以前はフラットだった入り口には階段があります。このままでは信ちゃんは入れません。「車椅子でも大丈夫ですか?」と入り口に出て来た女性店員に尋ねると「はい」との返事。その後下の写真のように、信ちゃんは慣れた手つきの青年二人に店内へと運ばれました。
次の目的地はジャガイモと、常呂町のホタテ、そしてカーリングで有名な北見です。
旭川から北見。一般的には国道36号線を走るのですが今回、信ちゃんは敢えて県道333号線を走ってみたいと、まず遠軽へと向かい、北見を目指しました。
今日はここまでです。右手が疲れました。
中編に続きます。