車椅子旅行だからの出会い:2017年北海道・道東の旅(2)
いつものように、本題に入る前が少々長いですが、お付き合いを。
2015年の5月能登空港に飛び、レンタカーを借りました。信ちゃん(夫です)が倒れてから初・め・てのレンタカーです。いつかはレンタカーで車椅子ドライブ旅行をしたい。能登半島ならば北海道と同じように、車も人も少ないから初レンタカー体験にふさわしいと考え・・・。
と言うよりは、朝ドラの「まれ」の塩田や里山を見に行った友人の「よかった」「よかった」の報告が羨ましかったのが本心に近いかな・・・。
初・め・てのレンタカーなので無理をしないようにと初日は輪島のペンションに宿泊、その後時計回りでのんびり能登半島を巡る5泊6日の計画を立てました。そのおかげだと思います。事前に調べて人気観光地リストに引っかからなかった、素晴らしい縄文遺跡の博物館に出会いました。
以来、縄文遺跡があれば必ず寄るようにしています。
長野・中川村に移住した友人を訪問した帰り、
これまた偶然
を発見。急ぎの帰路だったので、今一度、石和温泉宿泊絡みで、ゆっくり縄文遺跡を見に行きたいねと話しています。
本題に入ります。
今回の道東の旅で一番北に位置し、二人で一番気に入った宿「万月堂」
のある標津町北部から
海沿いを18キロほど南下したところに、
があります。
万月堂を出発してこれから伺いたいと電話をすると、女性の方が応答して下さいました。「資料館は車椅子では入れないので、学芸員に時間が取れれば、一般には解放していない車道から国指定史跡の伊茶仁カリカリウス遺跡:https://www.shibetsutown.jp/pogawa/iseki.html まで車でご案内します。お気をつけておいで下さい。お待ちします」
資料館の駐車場に到着すると、電話で応対して下さったと思しき女性の後から、40歳少し手前かなあと推察する男性が、資料館から登場しました。んんん~学芸員さん?
「ちょうど時間があったので、彼が案内してくれるそうです。彼の車に付いて行って下さい」
やったね!
に・わ・か縄文文化愛好家の信ちゃんは、「随分離れているのだねえ。これじゃあ、とても車椅子では行けないや」と言いながら、かなりのスピードで前を走る学芸員さんの車を追いかけます。「ぶつかるぶつかる! こんな狭い所を行くの!」などと叫びながら、信ちゃんは本当に嬉しそうです。
標津遺跡群の最大の特徴は、現在の地表面から数千年も昔の竪穴住居跡が窪みとして確認でき、しかもその数が日本最大の規模を誇る点だそうです。
現場に到着し、車を降り、早速FreeWheel: FreeWheel フリーウィール | 株式会社こっぱ舎を電動車椅子に装着して、学芸員さんの後を追います。
信ちゃんは熱心に説明を聞いていましたが私は、本土から北大に進学、アイヌ文化に魅せられて北海道に残り研究を続け、地元の女性と結婚して子供も生まれ、標津町の職員として毎日遺跡と向かい合う幸せな毎日だという学芸員さんのバックグラウンドを、とても興味深く聞きました。
「標津町の職員なので収入が厳しいのだけがちょっと・・・」
信ちゃんはアイヌと縄文文化の知識が増えてご満悦でしたが私は、「ポー川」というのは「ポン川」がなまった名前で、「ポン」とはアイヌ語で「小さい」という意味だと言う話が、一番強く記憶に残りました。
気を付けていると北海道には「ポン」と付く地名がたくさんあり、いずれも小さな湿地だったり沼だったり。
ひとつお利口さんになりました。
それもこれも・・・・
信ちゃんが「車椅子」だから体験できる幸せ。
車椅子での史跡めぐりは煩わしい事も多いですが、それ以上の贈り物を、今回も貰いました。
心からの・・・感謝!の思いを一杯に、学芸員さんにお礼を言って「小川遺跡」を後にしました。
旅の目的は様々:
と以前書きました。そして車椅子のように目に見える障害は、初対面の人との会話を弾ませる幸せな「コミュニケーション・ツール」だと思います。
車椅子ドライブ旅行。厳しくない・苦労がないとは言いませんがやはり、魅力的な優しい人たちに会える楽しみは、車椅子旅行のハイライトです。
北海道・道東はどこも美味しいもので溢れていましたが今回、一番気に入ったのは花咲蟹でした。信ちゃんは、「毛蟹よりおいしい」と大満足。痛い、痛いと言いながらの二人分の蟹の殻割り。やりがいがありました。左上は北海シマエビ。中央上はもちろん、根室の秋刀魚です。
(2017年8月 根室・花咲港の宿)