車椅子旅行は楽しい!

パッケージ旅行とは違う、「個人でプランを立て」「自由な発想の」「安上がりな」「車椅子旅行のススメ」
「車を運転している時は、自分が左半身不随であることを忘れられる」と言う、17年前に脳出血で倒れ車椅子生活者となった夫との車椅子旅行は、幸せの宝庫です。

車椅子旅行だからの出会い:2017年北海道・道東の旅(1)

 5回目となる北海道の車椅子ドライブの旅。車椅子旅行者だからの出会いをこれまで、数多く重ねてきましたが今回もまた、思い出すと思わず頬が緩む、幸せな出会いが沢山ありました。
 もちろん車椅子旅行ゆえの、退まる場面に直面しなかったとは言いません。ですがそれも最終的には切り抜けました。終わってみれば、忘れられない思い出です。


 15日間の北海道・東道の旅行のちょうど中間地点の野付半島が目の前にある、尾岱沼シーサイドホテルでの事です。2017年北海道車椅子ドライブ旅行: ベッドのない宿 - 車椅子旅行は楽しい!
 宿泊を決める前に、「ホテルの入り口の前には階段が2段ありますが、屋内は車椅子移動が可能です」と確かめ、フロントの女性と楽しい会話を交わしました。
 この、「ホテルの入り口の前の2段の階段」でした。いつもならば入り口の階段の画像を事前にチェックするのですが、私はそれを怠りました。これまでの経験で、2段ならなんとかなると思ったのです。


 尾岱沼のクルーズ船から何頭ものさんに挨拶をして、観光案内所で紹介されたお店でおいしいお昼をゆっくり食べた後ホテルに到着して・・・ホテルの入り口を見た信ちゃん(夫です)は怯みました。それでも一度は運転手席から降り、2段の階段を上る努力を試みたのですが、諦めました。
 2段の階段の前が軽く傾斜していたのです。
 平坦なところから階段に上る事は出来ますが、左半身不随の信ちゃんには、ちょっとでも傾斜があると歩行は困難究めます。今回は、傾斜の先の階段です。
 あっちゃ~!
 誰か信ちゃんを車椅子ごと運んでくれる男性は居ないかとフロントの女性(電話で話した人とは別)に聞いたのですが、あまり協力的ではなく、「今は誰も居ません」と答えられてしまいました。
 即座に車に戻り、事前に調べてあった車椅子で泊まれる近くの宿2軒に電話を入れましたが、いずれも満室だと断られました。
 どうしよう~!
 気持ちばかりが逸ります。その時信ちゃんが
 「彼らに頼もう!」と声を上げました。


 フロントに男性を求めて階段を駆け上った時、入り口に「慶應義塾大学ご一行様」の看板がかかっていたのは、ちらっと見ていました。
 信ちゃんの視線の先に目をやると・・・自転車に乗ったご一行様がホテルに戻ってきたのです。あわてて走り寄り、信ちゃんを車椅子に乗せて上まで運んでくれないかと頼みました。
 青年たちは気持ちよく自転車をその場の芝生の上に置き、あっさり信ちゃんをホテルの中に運んでくれました。こちらが十分お礼を言う間もなく、彼らはさっと去って行きました。


 翌朝、階段の前の傾斜に車椅子を置いて、何とか二人だけで階段を降りようとアタフタしていると、ホテルの女将さんが声をかけてくれました。
 「ちょっと待っていて。今うちのを呼んでくるから」
 奥から出てきたのは、若い女性です。
 「このこはその辺の男より、遥かに力持ちだから頼りになるのよ。安心して」
 信ちゃんは彼女に「右側でになって、もし僕が寄りかかっても、絶対に動かないでね」とお願いすると、意を決して階段をまず一段降り、そして二段目を降り、必死で階段の前に置いた車椅子になだれ込むように座りました。
 やった~!
 女将も若い女性も素敵な笑顔で、私たちを見送って下さいました。


 前の晩、ホテルの廊下に飾られた尾岱沼の自然の中の白鳥や日の出の写真に魅入っていると、女将が声をかけてくれました。「ここの写真はみな、が撮影したの」「素晴らしい写真ですね」「晴れたら、あなたたちの部屋からもこんな太陽が見えるわ」

 日の出の予定時刻の4時半に起きたのですが、太陽は顔を出しませんでした。残念。


 北海道では、その自然に惚れ込み本土から移住して、自分の愛する対象を追いかけ続けている方々に沢山出会いました。風連湖の南端、春国岱の入り口にある民宿風蓮:民宿 風蓮【 2017年最新の料金比較・口コミ・宿泊予約 】- トリップアドバイザー のご夫婦も、そんな方々でした。鳥の観察が好きで39年前にフラリと風蓮湖を訪れ、今では世界中から鳥を愛する旅人がやって来るとの事。今年の5月にスエーデンのゴットランド島に行きましたと話すと奥さんが、
 「あなた、ゴットランドには知り合いの方が居たわよね」と話しかけ
 「うん、名前は忘れたが、後で調べてみよう」とご主人が答えました。
 信ちゃんは穏やかなご夫婦の会話を黙って聞きながら、食堂の目の前に広がる風蓮湖の景色を見ていたいと言いました。


 北海道・道東の旅で出会った魅力的なみなさんの話はまだまだ続きますが、この写真は襟裳岬と釧路の間辺りにある、太平洋に面した晩成温泉近くのとほ宿「セキレイ館」:北海道十勝のゲストハウス民宿・セキレイ舘♪一人旅、ライダー、自転車大歓迎♪ での、とても礼儀正しかった大阪府立大学の自転車部の若者と、中年のライダーさんたちとの朝食風景です。笑い声と楽しい会話がはずみました。
 夕食前には部屋の前で、アライグマの親子を見かけました。

(2017年8月 北海道・大樹町)



 

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