みちのく三大桜の名所北上に、新幹線に乗って行きます!
信ちゃん(夫です)の会社の創成期、事務の仕事をしてくれていたのり子さんとはもう、40年以上の長い付き合いです。Sound Engineerの信ちゃんが仕事でツアーに出て東京をしばらく留守にしている時には二人でよく、渋谷界隈をウロウロしました。初めてだけれどおいしそうだと思う店を覗き、「大丈夫だと思います」と報告するのは、いつも背の高い彼女の役割でした。恐る恐る入り、二人でほろよい機嫌になったものです。
その後結婚。子育ても終わり定年退職した彼女が去年の秋、生まれ故郷の北上にUターン。そして、ご両親がお店を畳んだ後にカフェを去年9月にオープンしました。前からの夢だったそうです。オープンには駆け付けると約束していたのですが、信ちゃんが北海道旅行から帰宅した翌日の9月5日に倒れて、初北上訪問の夢は消え去りました。
そんな「北上」と聞いて喜んだのが義姉、兄の奥さんです。
「北上は『みちのく三大桜の名所』の一つで、川べりに1万本の桜が咲き誇っていて、ずっと前から行きたかったの。行こうよ、行こうよ」
それを聞いて私は、スキー社員旅行から帰った次の週に何気なく、特に期待もなく「北上に桜を見に行かない?帰りに、福島に寄ろうよ。しばらく行ってないから」と声をかけたらあっさり信ちゃん、「行こう。久しぶりに新幹線に乗りたい」と答えました。
そうでした。信ちゃんはちょい「鉄ちゃん」でした。列車に乗るのが大好きで、まだ車椅子になる前に二人でイギリスに行った時、わざわざヨークの鉄道博物館まで足を伸ばして大喜びしていました。大宮の鉄道博物館には車椅子前、車椅子後の2度行っています。
https://www.railwaymuseum.org.uk/
ヨークに展示されていた写真のヴィクトリア女王の御用列車をしみじみ眺め、「乗ってみたいなあ」と言った羨ましそうな信ちゃんの顔。よく覚えています。
やったね! 北上の桜だ。早速、義姉に連絡しました。
そしてこの北上行きが、素晴らしい出会いをくれました。
下の部屋のレイアウトを見て下さい。東横インのハートフルルームです。
覚えている方も多いと思いますが、東横インは2006年、不適切な障害者用駐車場の使用で全国的な話題となり、厳しいバッシングを受けました。
その免罪符という言い方は生意気かな?このようなバリアフリールームをほぼすべての東横インに設けました。バリアフリールームとは呼ばず、ハートフルルーム。登録商標されています。
リーズナブルな朝食無料の他のビジネスホテル・チェーンにも、バリアフリールームはあります。スーパーホテルもその一つで、宿泊した事もあります。ですが、全面的に満足行くものではありませんでした。スライド式のドアが重すぎて、信ちゃん一人ではドアがあけられませんでした。もうずいぶん前のことなので、今は改良されているだろうと期待しています。
ハートフルルームに実際に泊まられた方の動画を見つけたので、ご覧ください。
東横インのハートフルルーム最強説。
東洋経済の、このような記事もあります。
あ~あ、この記事をもっと早く知っていれば、宿探しが随分楽になったものを。確か敦賀だったか。東横インに泊まり、パンが当時お気に入りだったコンフォート・ホテルよりもおいしくなくて以後、私の頭の中から東横インが去って行きました。
そうでした。そうでした。どうして東横インの、そしてハートフルルームを知るようになったのか?
のり子さんのカフェは北上駅の西側にあります。なので最初は西側の宿をと考えたのですが、桜は東側です。1万本の桜並木までみなさんは、東口から出ている循環バスで行きます。15分ほどだそうです。ですが問い合わせたところ、車椅子は乗車不可でした。とすれば、歩いて行かねば。地図を見ると、歩いても30分ちょっとで行けそうです。
そこで駅の東側のホテルを探し、東横インを見つけ、ハートフルルームの存在を知ったのです。ハートフルルームはどこでも人気で予約がなかなか取れない。「北上さくら祭り」が始まる4月15日からはすでに以前からの予約でいっぱいだったそうですが、暖冬のおかげで桜の満開が早まりました。3月中頃に、ちょっと満開には早いかなと思いながら、4月12日のハートフルルームのツインをチェック。空いていました。値段は通常のツインと同料金です。
フロントに電話をすると、「東横インのメンバーになると、少し安くなります。宿泊当日にお申し込みいただければその日から、割引いたします」との事。翌日13日の福島の東横インでもハートフルルームの予約が出来たので、北上でメンバー登録をする事にしました。
余談ですが、のり子さんが中学生の頃の北上の桜は、GWに咲いていたそうです。
ところで、北上にはバリアフリーマップはありません。そこで、車椅子トイレの場所を知りたくて、「さくら祭り」のページをチェック。その中のある言葉に驚き、担当者にメールを送りました。
「『さくら祭り』のページを見せて頂きました。そして、都内では見た事のない「障害者用トイレ」という言葉の繰り返しに、ドキッとしました。「差別用語」だと思います。通常は「多目的トイレ」という言い方です。
市外、県外の車椅子生活者の観光客、これからは増えると思います。
「障害者用トイレ」という言葉を使わない、バリアフリーマップを作って頂ける日が早く来ますように」
3日後に、担当の小原さんからこのようなメールが届きました。
「ご指摘いただき、誠にありがとうございました。該当箇所を国土交通省に習い、「バリアフリートイレ」の名称に変更させていただきました。
参考:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/content/001443243.pdf
今後は「障害者用トイレ」等の記述を見つけた場合、内容を修正していきます。
どうぞよろしくお願いいたします」
「国土交通省に習い」という言葉。ちょっと抵抗がありました。
みちのくの桜の名所北上のバリアフリーマップが出来るのは、まだ先のようです。
最後に。
「東横インに宿泊した感想を是非聞きたい」という言葉を、何人もの人から言われました。
次回は、ハートフルルーム宿泊記を投稿する予定です。
倒れて18年目に入る信ちゃん。これは4代目の装具を作っているところです。
(2021年10月)



