10回目の北海道旅行なのになぜこんな苦労を!(後編)
士別グランドホテルのエレベーターはいたって普通のタイプでした。レストランもそれなりのレストランで、夕食も朝食もホテル内で食べました。なかなか美味しかったです。ビュッフェ式の朝飯にはメロンなど生の果物が色々並んでいたので、久しぶりにたっぷり食べさせて貰いました。
いよいよ後は定宿の中富良野の富良野ホステルと平取のくまさん荘です。どちらも今回で6回目と9回目。共に部屋は1階にあり、トイレはバリアフリー。信ちゃん(夫です)は一人でドアを開けて用を済ませる事が出来ます。
富良野ホステルには4泊の予定でした。今年に入り冬の間、仲良く並んで何度目になるのでしょう?「北の国から」のDVD全編を見て勇んで、「北の国から」の聖地巡礼をしようと決めていました。ところが、強烈な便秘が治る気配はなく、力なく富良野ホステルに到着しました。北海道へは仕事で、それぞれ何度か来ていますが、車椅子になっての初めての北海道への旅は2007年。脳出血で倒れて2年半が経っていました。
羽田から旭川に飛び、バスで東へと向かい中富良野の宿に宿泊。中富良野からは列車で新得経由で千歳空港へのルートでした。その後はいつも道東から西へと走り、中富良野に到着していました。なので、14年ぶりの旭川方面からバス通りを中富良野へのルートはとても新鮮でした。
その時の投稿は(1)から(5)まであります。
初めての自分たちだけの国内旅行:北海道 (1) - 車椅子旅行は楽しい!
番外編もあります。私たちのその後の車椅子の旅に絶大な影響を与えた「特別なエピソード」について書いています。
読んでいただければお分かりだと思います。「人との出会い」が旅を何倍にも豊かにしてくれる。その思いは旅の前も、旅の中でも、そして旅の後でも続くものです。
さて、強烈な「便秘」に悩まされ続けている信ちゃんと定宿の富良野ホステルに到着しました。これで事態は好転すると思ったのですが結局、自宅に戻る迄の10日の旅の間、信ちゃんは一度も排便出来ませんでした。
いつもニコニコ、笑顔を絶やさず働いている宿の奥様。何度も伺いながらゆっくり話をする機会はそれまでありませんでした。ですが今回は状況が異なりました。オウナーに信ちゃんの状況を説明すると、こう言われたのです。「彼女に相談して下さい。以前は看護師をしていたので」。信ちゃんの状況を聞いた中公オウナーの奥様。さすが元看護師。てきぱきといろいろな指示を頂きました。
何度も何度も書きますが、旅の大きな幸せは、「人との出会い」であり「人との縁」です。今回も、信ちゃんの「便秘」が「縁」で、オウナーの奥様との縁を深めることが出来ました。
同宿していたのはスペイン・バルセローナからの4人家族。「ブエノス・ディアス」と知ったかぶりでスペイン語で挨拶をすると、「私たちはスペイン語ではなくカタラン語を普段話しています」と言われてしまいました。せっかくのチャンスだったので、「こんにちわ」をカタラン語で何というか教えて貰えばよかった。残念です。
「生野菜よりも温野菜を」、「蕎麦よりもうどんを」と、信ちゃんの食事を細かく指示して用意して下さった奥様。ありがとうございました。その後も教えを守り、それなりの努力をしているのですが、なかなか上手くは行きません。
ということで、「北の国から」の「聖地巡礼」は諦め、旅程より4日早いフェリーのバリアフリールームが取れたので、飛んで帰ることにしました。
帰路、「北の国から」の中で親子3人が夜薄暗い中でラーメンをすする店のあった「山部」の街を通過する時、信ちゃんが言いました。「来年は、ここでラーメンを食べたい」。そうだね。来年はゆっくり聖地巡礼をしましょう。
さて、最後に宿泊予定だった定宿のある「平取町」。そこからの帰りには必ず立ち寄る、幕張にも支店のある「いづみ食堂」。去年は私が右肩骨折をしていたので車から降りずにお盆に「鴨南蛮蕎麦」を運んで貰い食べました。今年は頑張って、手動式車椅子を降ろして店内に入り、大好きな「鴨南蛮蕎麦」をまた注文したのですが、信ちゃんは汁を少しすするだけで、蕎麦は一口も食べられませんでした。いずみ食堂 (いずみしょくどう) - 日高門別/そば | 食べログ
19時間の船旅を終えて大洗に到着した時、信ちゃんは思ったより元気でした。「大丈夫?」と聞いても仕方のない事なので、「さあ、出発!」と声をだして自宅へと向かいました。金曜日の夕方苫小牧発で、大洗到着は土曜日。翌日は日曜日なので、病院探しは大変でした?と心配して下さる読者の方へ。私たちはこれまた「縁」に恵まれていて、住んでいるマンションの隣に小さな診療所があります。先生の専門は「消化器科と内科」。さらに日曜日は午前中、診療して貰えます。
8時半の受付開始5分前に、歩いて1分半の診療所の玄関に貼りつき、馴染みの受付の方に「先生は9時少し前にいらっしゃいます」と言われて即、自宅に戻りパジャマ姿の信ちゃんに上着を着せて膝にタオルをかけ車椅子に乗せ、8時55分に診療所の待合室に到着しました。
先生の診断は2分。ベッドの横になって強力な「浣腸」をして貰い、自宅に戻り・・・その日は夜まで寝続けました。そして、翌日は「すっきり」。今も「すっきり」です。
車椅子生活者の方なら、「小さなエレベーター」に電動車椅子をどうやって乗せるかの答えを考え、ご自分で回答を得られる方は多いと思います。私は今回、自分の発想の貧困さに心からがっかりしました。電動車椅子を2か月に一度整備に来て下さる方に正解をきかされた時、なぜ思いつかなかったのか。情けなかったです。何度でも言います。ホント、情けなかったです。
答えですか?いたって簡単。ヤマハの電動車椅子の足を乗せるフットレスト部分は取り外しが出来るので、取り外して乗れば小型のエレベーターでもなんとか乗れます。写真は信ちゃんのものとは同じ型ではないですが、フットレストの部分は似たようなものです。
この場合、フットレストに両足を乗せなくても信ちゃんのように、片足の膝を曲げ、麻痺の片足を健常な足に乗せることが出来る場合に限ります。写真を見るとお分かりのように、フットレストを取り外すと、20センチ近く車椅子の幅が短くなります。残念ながらフットレストに乗せないと両足共にダランと床に足が着いてしまう方には、難しいでしょう。
良い勉強になりました。車椅子旅行についてはあらゆる部分で「自信」があったのですが・・・。ということは、まだ発見できることがある。初体験がどこかで待っている。ということですよね。
今年はもう遠出は無理かな? でも、ちょこちょこは出かけましょう。11月初旬の三連休の月曜日、東京都のシルバーパスでバスに乗り、二子玉川まで久しぶりに映画を見に行きました。役所広司さん主演の『八犬伝』。大迫力でした。
急に寒くなったので、みなさまお互いに体調に気をつけましょう!!!