腹立たしさと幸せが絡み合うのが、車椅子旅行:郡山編(1)
車椅子旅行の楽しさばかりをいろいろ書いてきましたが、実際に車椅子で外出されている方ならば、腹立たしい経験もされていますよね。もちろん私たちも。
(1)都内のバスの中で、(乗るのに時間がかかり過ぎたのだという事でしょうが)「迷惑をかけているのだから、謝りなさいよ」と中年女性に怒鳴られた事。もちろん、謝りません。謝ったら信ちゃん(夫)の立つ瀬がないではありませんか。
(2)混んだ都内のバスの中で降り際の男性に、耳元で「混んでるバスに、あんたたちのような人は乗るべきではないよ」と捨て台詞を囁かれた事。
などなど。
ですが、一番頭に来て、思いっきり後ろから尻を蹴飛ばしてやりたいと思ったのが、神妙に信ちゃんの車椅子を押してくれていたJR郡山駅の駅員さんでした。2012年2月の事です。
20年ぶりに郡山の友人に会いに行きました。311以降、3度目の福島です。
私たちの車椅子旅行のルールの一つに出来るだけ「新幹線に乗らない」というのがあります。時間はたっぷりあるのだし、高いし。プチ鉄ちゃんの信ちゃんは、ローカル線の旅が大好きです。じゃらんで創業5周年記念赤字覚悟2食付き5,800円の洋館の宿を見つけて、黒磯で途中下車。1泊しました。お昼は途中下車して宇都宮駅で餃子を食べました。
郡山の宿はお気に入りのコンフォートホテルです。いくつかあるビジネスチェーンの中でどうしてコンフォートが好きかは「バリアフリールームと車椅子用駐車場のあるホテル(3) - 車椅子旅行は楽しい!」で書きました。
郡山の繁華街は西口ですが、コンフォートホテルは東口から3分の静かな場所。予約に何らためらいはありませんでした。
東北本線の出口で我々のケアをしている中年の駅員さんに、東口にはどう行けばいいのか尋ねると、恐ろしい答えが返って来ました。「東口にはエレベーターがないので、西口からタクシーに乗り、東口まで行ってください」。これだけならまだ蹴飛ばす気はありませんでした。ただ、新幹線駅のある郡山駅の東口に、エレベーターがないのにはびっくりしました。エスカレーターだけ?
「そうですか。JRさんとしてはいつエレベーターの設置を考えていらっしゃるのですか」
すると、駅員さんはまったく熱意のない声で答えました。
「それは行政の問題ですから、JRの責任ではありません」
💢 💢 💢
私は一言もエレベーターがないのを「ぐちり」もしませんでしたし、「責め」もしませんでしたし、「責任」についても言及していません。なのに「JRの責任ではない」「行政の問題だ」との気のない言い逃れ。
何を言っているのだこの駅員。
こんなおっさん相手にしても仕方がないと、まだ車椅子を押そうとしている彼から信ちゃんを取り上げ「ここまでで結構です」と言いました。
さあて、どうするか。地図を見ると、西口から東口への踏切まではかなりの距離があります。タクシー料金もばかにならないようです。観光案内所が目の前にあったので、西口にある一番安いビジネスホテルの料金と空室の確認をしてから、西口から東口までのタクシー料金を聞きました。
そして、ダメモトだと思いながら、コンフォートホテル郡山に電話をしました。
その間信ちゃんは、私の頭の中がクルクル回っているのを知ってか知らずか、車椅子を自走させながら、駅構内を楽しそうに散策し始めました。
郡山編(2)に続きます。