車椅子旅行は楽しい!

パッケージ旅行とは違う、「個人でプランを立て」「自由な発想の」「安上がりな」「車椅子旅行のススメ」
「車を運転している時は、自分が左半身不随であることを忘れられる」と言う、13年前に脳出血で倒れ車椅子生活者となった夫との車椅子旅行は、幸せの宝庫です。

バスに乗って『聖の青春』を見に行きました。

 信ちゃん(夫)は大の将棋好き。将棋熱がピークの頃は忙しい仕事の合間を縫い、千駄ヶ谷にある将棋会館詣に

よくつき合わされました。
 棋士のみなさんご愛用のさびし~い館内食堂のラーメンをすすりながら、信ちゃんはいつもきょろきょろ知っている棋士はいないかと、嬉しそうにまわりを眺めていました。私は一人、「もっとまともなラーメンを食べさせろ」と毒づいていました。
 息子さんに付き合い将棋会館へ通うお父さんの素敵なサイトを見つけたので、ちょいと紹介します。


 信ちゃんとは元気な頃でも、映画を一緒に見に行くことはあまりありませんでした。車椅子になってからはここ11年間でわずか3。ですが、家に遊びに来た親友に「信ちゃん将棋好きだよね。村山聖って知っている?」と聞かれ、俄然、将棋愛再熱したようです。
 映画に出て来る福島・東山温泉・向瀧旅館http://www.mukaitaki.com/)で行われた「村山vs羽生」の対戦を含め早世した村山聖(https://laughy.jp/1435127608898169865)を、リアルタイムで見て注目していた信ちゃん。羽生善治棋士(羽生善治 - Wikipedia)と共に、目の離せない存在だったそうです。
 
 どの映画館で『聖の青春』を見るか 

と言う話しになり、バス一本で行ける所でいい? とお伺いを立てました。
 バスの中で2度続けてヘイト・スピーチを浴びせられた体験直後はしばらく、バスに乗るのは「嫌だ」と言っていたからです。
 そんな、こちらの身構えている気持ちなどまったく意に反さず、信ちゃんは「いいよ」とあっさりお返事。「今日はお天気もいい」。お天気。車椅子には超大事です。
 人間の最大の長所は「忘れる能力を持つ」とどこかで聞いたことが・・・・
 「よい記憶力は素晴らしいが、忘れる能力はさらに偉大である」
                 ―――エルバート・ハバード(米・教育者)


 バスで向かった映画館は、昨年オープンした全面バリアフリーの3D・IMAX(IMAX アイマックス:109シネマズ)も入った豪華なビルの中にあります。電動車椅子で自由に動き回れる楽しさを十分ながらも「セレブの街だね。何でも高いね」だそうです。「ありがたいが好きになれない」。同感です。


 歩道がない道を夕刻を過ぎてから通るのを、信ちゃんは極端に嫌がります。電動車椅子ではなく、折り畳み車椅子で私が押している時でも。ですので以前なら「明るいうちに帰ろう」と言ったでしょうが今回は、「バス停からは一本道だから暗くなってもいいよね」に、異論はでませんでした。
 そこで映画を見終わり、ウィンドウショッピングを楽しんだ後夕食を食べて帰りました。総額5,000円内の車椅子日帰りプチ・プチ旅行でした。
 食事の間、映画の話はしませんでした。なんとなく。まだ映画の余韻に浸っていたのかな。


 その夜、「もう寝よう」となって何気に私が「今日の映画で一番好きなことばはね、『障がいがあったから将棋に出会った』だよ」と言うと信ちゃんは、「僕も同じだ」と言いました。


 そうなのです。車椅子生活になったことで私たちは本当に多くの新しい体験をさせてもらいました。今もそれがどんどん増え、未知の世界を毎日歩いています。
 「中途障害者だからそんな事が言える」。その通りです。
 感謝しながら、車椅子旅行を楽しんでいます。


 役作りのために激太りした主演の松山ケンイチさん。大好きな俳優さんですが、趣味は「車椅子バスケットボール」だそうです。どうして「車椅子バスケットボール」を始めたのか、聞いてみたい。ファンメール出してしまいましょうか。


チュニジアの早朝。ホテルの窓より。

(2002年1月)チュニジアの港町にて