車椅子旅行の贈り物: LONDONでこけました。
車椅子旅行の贈り物で、一番大事なプレゼントは・・・
「いろいろな場所で会う、いろいろな立場の方、特にボランティアの方々の好意を素直に受けとめ感謝する『心』を会得した事」(http://noripico22.muragon.com/entry/81.html)と書いて以来、「受援力」という言葉が頭の中にど~んと居座っています。
しばらく、「受援力」様とお付き合い下さい。
昨日は、我らが愛するケアマネジャー(http://carers-concier.com/ma-search/191/)の月に一回の訪問日。挨拶もそこそこに、ケアマネのちょっぴり興奮気味の話が始まりました。
「ここに来る途中で、自動販売機の前で四苦八苦している車椅子のご老人を見かけたの」
「ふむふむ」
「『お手伝いしましょうか?』と聞いたら、『さっさと手伝え』ですって」
ケアマネは憤懣やるかたない風情でしたが、私は彼女の次の言葉を遮り
「それは、あなたが悪い」と言いました。
信ちゃん(夫)が倒れる前だったら、「あら、それはないわねえ」くらいの相槌を打ったでしょう。ですが、今は違います。
車椅子旅行のロンドンでの体験が、私を変えました。
電動車椅子(仕様と価格 - 電動車いす | ヤマハ発動機株式会社)の後ろに重いリュックを乗せ、私は信ちゃんのすぐ後ろを歩いていました。ロンドンの歩道は日本よりも高く、スロープもやや急です。100%私の不注意ですが、後輪用ストッパーを畳んだままでした。
短いスロープの途中で、後ろが重すぎた車椅子の前が持ち上がり、私は信ちゃんの下敷きになりました。信ちゃんと車椅子、それにリュックの荷物を合わせた、100キロ以上を抱え尻もちをついたのです。
近くを歩いていた数人のロンドンっ子が走り寄り、速攻で車椅子と私を起き上がらせてくれました。「Thank you!」を繰り返す私たちの方に笑顔を向けるとみな、あっと言う間に散り散りに立ち去りました。
その間、全員が無言でした。
彼らの無言は、雄弁でした。笑顔は雄弁でした。
ケアマネは一瞬、「あなたが悪い」という私の言葉にひるみました。
「うまくジュースが取れなくて自分に腹を立てていて、情けないと思っている人に、教科書通りに『お手伝いしましょうか?』って聞くのは相手に判断を委ねることで、それって上から目線じゃない?」
その後、ケアマネに聞きかじりの「受援力」の話をしました。そしてちょっぴり偉そうに「その人には、『受援力』が足りなかったのかも・・・年老いたら可愛い方がいいよね」と言ってから「信ちゃんみたいに」と余計な事も付け加えました。
賢い我らがケアマネは、「そんな風に考えたことがなかったけれど、考・え・て・みる」と言ってくれました。
実は嬉しい事がありました。そこで、郡山、会津若松、喜多方と福島市内の友人に会いがてら、4泊5日の「紅葉を愛でる」福島車椅子ドライブ旅行に行くことにしました。予算は7万円。詳しくは次回に。
ロンドンの街角で。信ちゃんの車椅子の視点に、ときどきハッとさせられます。
(2010年8月)