車椅子旅行の贈り物: コンビニの前でひろみさんに会う
いたずら盛りの男児二人のお母さん・ひろみさんは、マンションの駐車場のお隣さんで、近所に一軒家を購入し、引っ越し間近でした。
信ちゃん(夫)が脳出血で倒れてまだ集中治療室に入っていた三日目の朝、朝ごはんのパンを買いに私は、裏のバス通りに面したコンビニへと向かいました。
コンビニの前は住宅街には珍しく、トラックも駐車出来る大きな駐車場になっていて、エネルギー一杯の若いお母さんたちが子供の手を繋いで、幼稚園の送迎バスを待っています。その中にひろみさんも居ました。
パンを買ってコンビニを出ると、子供たちが送迎バスに乗り込んでいます。普段ならそのまま見逃す風景ですが、その時の私は信ちゃんのことを知っている誰(でもいいから誰)かに、信ちゃんの話を聞いて欲しかった。そこで少し離れた所で、若いお母さんたちと彼女の話しが終わるのを待ちました。私に気付くと、ひろみさんが走り寄って来てくれました。
ひろみさんは結婚前までメディアの仕事をしていて、とても優しい聞き上手です。私はしゃべり続け、話しているうちに涙が止まらなくなりました。
一通り聞き終えると彼女は、私が予想だ・に・しなかったことを口にしました。
「信ちゃんと同じように脳出血で倒れたが、現在はもう仕事に復帰している人が身近に居るわ」
あの時コンビニ前で立ち止まらず、ひろみさんと話をしなかったら・・・私たちは今、どうしていたかなあ・・・。
あの時ひろみさんを見かけ・声をかけた自分の一瞬の判断がもたらしてくれたもの。神様に感謝です!
と・こ・ろ・で・信ちゃんと病院の同室だったみなさんも含めて、病気で車椅子になったほとんどの方がとても遠慮深く・慎み深い。
どうしてですか?
「車椅子旅行の贈り物: のぶこちゃんのソウル旅行 - 車椅子旅行は楽しい!」でも書きましたが、せっかく「車椅子」という「目に見えるコミュニケーション手段」を手に入れたのですから、どんどん周りと話をしましょう。
いじめ? あります。
無視? あります。
無関心? あります。
そ・れ・が・何か?
次回は、ひろみさんの「信ちゃんと同じように脳出血で倒れたが、現在はもう仕事に復帰している人が身近に居るわ」の会話の続きです。
わがベランダからの一週間前の金木犀。今年は咲いている期間が短く、香りも弱かったように思ったのですが、天候のゆえでしょうね。
(2016年9月)