車椅子旅行は楽しい!

パッケージ旅行とは違う、「個人でプランを立て」「自由な発想の」「安上がりな」「車椅子旅行のススメ」
「車を運転している時は、自分が左半身不随であることを忘れられる」と言う、13年前に脳出血で倒れ車椅子生活者となった夫との車椅子旅行は、幸せの宝庫です。

バリアフリーマップの落とし穴:石見銀山編(2)

 2013年5月の山陰を中心にした旅は、信ちゃん(夫)が脳出血で倒れてからすでに8年が経過していました。(1)国内外旅行も複数回経験済みだったことと、(2)「石見銀山? 出雲大社? 私も行きたい!」と母が特別参加することになり、(3)大スポンサーとなってくれたので、(4)西は津和野、東は敦賀までの大旅行となりました。大名旅行ではありません。いつものように宿は2食付きで1万円以内です。


 最初の難関は、「サンライズ出雲」の切符の確保でした。

「サンライズ出雲」のバリアフリールームは一列車二室しかありません。そんなプラチナ切符をどうすれば入手できるか?「Yahooの知恵袋」(昔はよくお世話になりました)で問い合わせをして・・・・

 「10時(ジャスト)打ち」を狙うしかない事が分かりました。そして、それを実行しました。

(1)事前に近くの緑の窓口に出かけて、駅員さんと親しくなり

(2)当日は朝6時に一番乗りをして駅員さんに1か月後の「サンライズ出雲」のバリアフリールームを購入したいと伝え、

(3)担当の駅員さんに「10時ジャスト打ち」をしてもらう。

 幸運な事に、最初に出かけて出会い親しくなった中年の駅員さんが、当日の朝の担当でもあった事。そして、通常のプラチナ切符ではなく、バリアフリールームの切符のために「10時ジャスト打ち」をする、それも「サンライズ出雲」のために・・それを、面白がって下さったことです。「初めてですよ。車椅子の方のための10時打ちは」


 一番下に、切符購入のために私が参考にしたサイトから、「10時ジャスト打ち」の説明部分を引用して貼り付けました。車椅子旅行をしなければ、「10時ジャスト打ち」については一生耳にすることがなかったでしょう。


 車椅子旅行をすると、賢くなります(本当かなあ?)。車椅子旅行の楽しさの一つです。


 通常ならば、第二の難関は「石見銀山観光」です。ですがすでに8年前から詳しいいくつもの情報を入手していので、大田駅からのバス会社には、事前に協力をお願いしましたが、ひとたび石見銀山(大森町)に到着したら心配はないと、「石見銀山はバリアフリー」だと思い込み、あまり熱心に地図をチェックしませんでした。一種類しかありませんでしたから。

 こうして80歳に近い母と一緒に、電動車いすの信ちゃんと三人で、のんびりのんびり龍源寺間歩へと向かいました。

 みなさんが自転車で通る、距離が一番短い通常の道もよいのですが、せっかくだからと、清水谷製錬所跡(石見銀山遺跡)に寄って行くことにしました。

 製錬所跡は坂の途中にありました。見上げるとそれまでとは異なり、かなり急な坂でした。ですが、「一生に一度だ。頑張って登ろう」と母が歩きだし、私たちも続きました。観光地で資料・情報を読むのは、私の役目。立て看板を声を出して読み、「ふーん」と感心をして、さあ、元の道に戻りましょう。

 その時・・・

 上ってきた坂がどれほど急こう配であるかに、突然気づきました。恐怖が走りました。ですが、それを気づかれてはなりません。電動車椅子のスイッチを切って、私が後ろ向きで下がる方法もありますが、それだけの体力があるか、自信がが持てませんでした。

 救いだったのは信ちゃんが、「後でブレーキを押し続けて、ゆっくり降りようね」と、冷静に言ってくれた事です。「ジェットコースターみたいだね」


 自分たちが後先考えずに勝手な判断で急な坂を上って行った事を棚に上げて、製錬所跡の坂から降りてくるのがどんなに怖かったかを、町中の案内所に戻って案内所の方に訴えました。たまたま、ずっとメールのやり取りをしていた方は、いらっしゃいませんでした。そこで、伝言をお願いしました。「高低差を表示したバリアフリーマップを作って下さい」

 その後、観光協会の方からメールが来ました。

 「次に改訂する時には、どうやるかは検討が必要ですが、必ず高低差を地図に表示します

 そして

 これが現在の石見銀山のバリアフリーマップです。清水谷製錬所のところには「傾斜が急な坂道」と書かれています。

http://www.ginzan-wm.jp/wp-content/uploads/3d65bc3b6fc895e78e511210ee716849.jpg


 これをご覧になれば、私たちのようなおっちょこちょいな車椅子旅行者の方も、あまり無謀な事はされないでしょう。

 本当にありがとうございました。心から感謝します。



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「10時ジャスト打ち」

寝台券を含め、ほとんどの切符が乗車1ヶ月前の午前10時から一斉に発売になります。10時ジャスト打ちとは、10時ジャストにマルス(券売機のこと)をたたいてもらうことです。その前に、寝台のタイプや利用人数など必要事項を、マルスに誤りなくインプットしておかなければなりません。そして、10時ジャストにデータを中央コンピュータに送るのです。


ロイヤルなど超人気個室は1ヶ月前の午前10時で瞬時に売り切れます。このため、正確に10時ジャストにマルスをたたかなければ勝ち目はありません。少しでも早すぎると中央コンピュータが受け付けてくれません。遅すぎると出遅れます。これは、1/100秒を争う争奪戦です。このためには窓口に正確な時計が必要です。


次に重要なことは切符の受付順です。駅員さんは10時前に切符のデータをマルスに入力しておき、受付順にこれを呼び出して発券します。1番ならいいですが、2番では出遅れます。1番は10時ジャストにマルスをたたけますが、2番は1番の発券が終わってからになるからです。したがって、絶対に1番になる必要があります。


10時ジャスト打ちには経験豊富な駅員さんが必要です。実際問題、10時ジャスト打ちをお願いできる駅は少ないです。大きな駅では客が多すぎてダメだし、小さな駅では経験不足でダメです。大きからず、小さからず、マルスが2~3台あり、1台を10時ジャスト打ちに空けてくれる駅でなければなりません。


それでは、私の経験から「10時ジャスト打ち」の模様を実況中継しましょう。


駅は朝6時にシャッターが開きます。6時前にシャッターの前で待ち、シャッターが開くと同時に窓口に飛び込みます。これで、まずは一等賞を確保しました。予め用意した切符の申込書を提出し、駅員さんと切符の条件を打合せます。そして、マルスにデータを入力したことを確認し、一旦、家に帰ります。


10時少し前に再び駅に行きます。申込書を受け付けてくれた駅員さんは、どうやら前日当直の駅員さんのようです。なにやら、別の駅員さんと打合せをしています。(私:おぃおぃ!大丈夫かよ)。10時1分前、日勤の駅員さんがマルスの前に座ります。数人の駅員さんが珍しそうに集まってきます。10時30秒前、窓口にJJYの時報(電話の時報サービスのこと)が、スピーカら流れます。


「間もなく10時ちょうどをお知らせします。ピッ、ピッ、ピィ、プゥー」。緊張の一瞬です。駅員さんの指がぴくっと動きました。(私:ちょっと、早いんじゃないの)。確かに、0.1秒ほど早いと思いました。しばらく沈黙。周りの駅員さんも固唾を呑んで見守っています。おそらく5秒ほどだが、それがすごく長く感じました。そして、マルスから切符が吐き出されると、駅員さんが、「とれました」。


さて、10時ジャスト打ちで必ずとれるという保証は全くありません。その後、5~6回、これにチャレンジしましたが、とれたのは、おおむね、半数です。ときには、一般販売ゼロということもあり得ます。これでは、ベテランの駅員さんでもお手上げです。