車椅子の遍歴とWILLとの巡り合い(後編)
前編・中編で車椅子旅行での「おもしろ・とんでも・笑えないエピソード」を「三」まで紹介しました。後編は「四」から出発です。いくつまであるの?ですか。切りの良いところで「十」と言いたいところですが、今のところは「九」まで。
(エピソードその四)
中編最後の写真の恐竜博物館の旅は、2020年10月8日に始まりました。
コロナ禍の中、この年には例年の8月の北海道旅行は諦めました。羅臼に住む友達に「ゴールデンウィークに帰京した親戚が帰宅した後、『コロナ』になった地元民が増え、外部の人たちをけいかいしています」と教えられて。
ですが旅行が日常になっている私たちにとり、どこかへ行きたい。そんな今回のエピソードの前哨戦となる「投稿」をまず覗いて見て下さい。早い話が、信ちゃん(夫です)の恐竜好きが、コロナに打ち勝ったのです。
結果、私には初めてだった福井県を訪れる事が出来ました。どこに行ってもガラガラな旅で、寂しいと言えば寂しかったです。ですが、「おろし蕎麦」は本当においしかった。意外と知られていませんが、今、「蕎麦の最大生産地」は長野ではなく北海道です。北海道の「蕎麦の種」を運んだのが、福井から北へと旅をした「北前船」だと言われています。
という事で、「コロナ」に抗って強行したこの旅で、私たちはひょっとするとこれまでで最大の危機という「しっぺ返し」を食らいました。
恐竜博物館に入館してわずか30分も経たないうちに、車椅子のタイヤがパンクしたのです。
その顛末は、次の投稿をお読みください。
東京に住むケアマネージャーの機転で解決した「パンク騒動」。ロシアに続き2度目です。「2度ある事は3度ある」のでいつ「3度目」に出会うのか?こうなると楽しみです。
そうだそうだ。最初にお断りしておくのを忘れました。これらのエピソードは「時系列」で紹介してはいません。思いつく順番で。最後に、大物を持って来ました。
(エピソードその五)
みなさん、飛行機の出発時間を遅らせた事、あります?普通、経験したくても出来ない事の一つですよね。ところが、こちらにはまったく責任のない状況で、車椅子のバッテリーが原因で、飛行機の出発を30分近く遅らせた事がありました。それも国内便ではなく、国際便を。
信ちゃんと私には若い時に自分が暮らした、または長期に滞在した場所で、それぞれには未踏の場所が三か所ありました。スペインのバレンシアとハンガリーのブダペスト(私)とスエーデン・ゴットランド島のヴィスビュー(信ちゃん)。「魔女の宅急便」のモデルになった愛らしい街です。
2018年、初回のバレンシア訪問には飛行機が遅れてAirB&Bの宿に到着したのが真夜中を少し回った時。おそるおそるベルを押すと、ご主人が笑顔で降りて来て「鍵」を渡して下さいました。そもそも何故?バレンシアについてはこの投稿をお読みください。
海辺で美味しい本場の「パエリア」を食べたり、洪水になり街中が水浸しになった後に「高速道路」を作る政府案ではなく、市民の力で実現した、ヨーロッパでも有数の10キロ続く公園を散歩したり。それはそれは楽しい旅でした。なので帰宅して即、翌年2019年5月20日から31日まで、バレンシアを再訪する事に決めました。
バッテリーが1つだと歩ける距離が限られる。1回目にそう悟った私たちは再訪の時、2つ目のバッテリーを鞄の中にいれてチェックインしました。その時、はっきり、バッテリーはリチウムではないと宣言したにも関わらず、カウンターのお姉さま二人、しっかりメモを取らなかったのですね。機内の席に座り出発を待っていると、「搭乗入り口においで下さい」と私に呼び出しがかかりました。あわてて行くと・・・入り口で男性スタッフが私たちの大型の鞄を開けて、セーターに包まれた予備のバッテリーを取り出しました。
「このバッテリーはリチウムではありませんね」
「勿論。チェックインの時に、ニッケル水素だと言いましたよ」といいながらバッテリーに触れようとすると、男性スタッフは大慌て。
「あっ、触らないでください。お客様はもう出国されているので・・・」
バレンシア空港の入国では、鞄の中をチェックされることはありませんでした。
再訪の旅で2つ目のバッテリーは大活躍をしてくれました。
(エピソードその六)
前年と同じ店で再び、地中海の海を見ながら「パエリア」と食べたりと、信ちゃんとの再訪のバレンシアも、本当においしく、楽しい10日間でした。世界的にも名の知られた、アフリカ大陸の動物だけを集めた「バレンシア動物園」
は特に、「どこでもまた行けるなら、どこに行きたい?リスト」があればベスト5に入ります
ところがところが。2つ目のバッテリーが災いとなり、出国の手続きでとんでもない苦労をしました。その顛末は、この投稿でお読みください。
せっかく早めに空港に行ったのに、時間切れで、お土産が買えなかったのが、至極残念でした。誰を恨めばいいのかなあ?
(エピソードその七)
クルーズ旅行は車椅子旅行者にとり、いろいろな面で大変ありがたい旅行手段です。信ちゃんがまだ元気な頃にナイル川クルーズ、車椅子になってボルガ川クルーズに続き、「ドナウ川クルーズ」を2019年に申し込みました。ドナウ川クルーズで唯一、車椅子専用の部屋が5つある船のハンドリングをしているベルリンの旅行代理店を見つける幸運に出会えたので。
出発はコロナ渦で結局、予定より3年遅れの2022年の4月21日出発便になりました。
出発前の苦労、というよりは手続きなどの「めんどくさ」さはさて置き、そもそも何故ドナウ川クルーズ、何故ブダペスト? については4回にわたり書きました。第一弾は
です。この後投稿が3回(計4投稿)続くのですが、出発前のフライト変更、帰国時のコロナ関連書類作成。そのドタバタもなかなか面白いのですが、ミュンヘンに着いてからのびっくりも面白いのを通り越し、「結構、腹を立てる事が続きました」。
ではまず、夜中に到着したミュンヘン中央駅。ホームに降りたはいいが、エスカレーターはあるものの、エレベーターがない「びっくりエピソード」をどうぞ
(エピソードその八)
エピソード8に直面した時、正直一瞬、どう対処しようかと迷いました。結局、「命がけ」はオーバーですが、日本だったら絶対にあり得ない(いや、あるかな?)と思う体験でした。
実はこの後も、チョロチョロおどろきや苦労(車椅子の前輪の破損)はあったのですが、トータルには念願の「ブダペスト」を信ちゃんと訪れる事が出来て、幸せな旅でした。信ちゃんは「ブダペスト」がとても気に入りました。「『東欧のパリ』と言われているけれど、パリより僕は好き」。再訪したい所のベスト5に入るそうです。
(エピソードその九)
いよいよ最後のエピソードです。20代の中頃、無名だったスエーデン人歌手Tomas Ledinと一緒にスエーデン・ツアーをした信ちゃん。その時一番気に入ったのがゴットランド島のヴィスビューでした。夏のバカンスシーズンだったので、一か月ちかく滞在したとの事。「魔女の宅急便」のモデルとなった街なみ。ヨーロッパ旅行でゴットランド島の上空を飛ぶ度に信ちゃんは「いつか一緒に行こう」を繰り返していました。
2017年、私のキャリアのきっかけを作って下さった大先輩が住むマンチェスターにまず滞在し、途中でヴィスビューに数日過ごす計画を立てました。オランダに住む後輩から、「ヴィスビューなら、私も行った事がないので飛んで行きます」と連絡が入りました。
羽田からロンドンに飛び、ロンドンからマンチェスターへ。
マンチェスター空港で「30年ぶりの再会」を楽しみに出迎えてくれた先輩の前に、私たちは「満面の笑みを浮かべて」登場する事が出来ませんでした。ロンドンからの英国航空が、信ちゃんの車椅子をロンドンに置き忘れてきたのです。
ということでその顛末は、この投稿を。
最後に。
色々書いてきましたが、いずれも「今」となれば「良き思い出」。これからも、旅は続けます。これまでのヤマハの電動車椅子と、新しく出会ったWILLを友に。ただ、たまたま今朝のNHKの番組で、「リチウム電池」と恐ろしさを特集していました。そして、WILLは「リチウム」。販売元は大丈夫だと言っていますが、飛行機に乗せて貰えるのでしょうか。
信ちゃんは、「月面探査機」の車輪のような動きをするWILLの車輪が、いたく気に入っています。
動画:
WHILL Model F「乗車・操作方法」 #WHILL