10回目の北海道旅行なのになぜこんな苦労を!(前編)
元気よく意気揚々と下記のように仲間に宣言して、2024年8月29日の大洗港発夕方便フェリーに乗って例年の北海道ドライブ旅行に出発。翌日、苫小牧港に到着しました。フェリーの部屋は少々高いですが、往復、バリアフリールームを確保しました。
「今日から10回目の北海道車椅子旅行に出発します。帰宅は9月11日です。
初回は飛行機・バス・列車を乗り継いで「旭山動物園」と「富良野」を中心に巡りました。新得駅前の「湊屋」さんで初めて食べた北海道の新蕎麦のおいしさは忘れられません。
2回目(2012年)からは大洗から愛車を乗せてフェリーで苫小牧。そこからこれまでほぼ北海道全土を回りました。私は運転が出来ないので、左半身不随の一級障害者の信ちゃんが全行程を運転。「運転している時は、自分が障害者だと感じない。北海道の道は広々としていて疲れが少ない。2時間走っても、『誰にも遭遇しない』事がある」
そして毎年必ず、車椅子ゆえの楽しい・幸せな出会いがあります。今年は何が私たちを待っているのでしょう?」
去年は苫小牧に日曜日に到着しました。コンビニ以外ほとんどの店が閉まっており、駅前のメガドンキーのビル内にやっとみつけて入った札幌のチェーン店のラーメン屋さん。おいしかったのですが支払いは現金のみ。信ちゃんをラーメン屋さんに「人質」に残してホテルに大慌てて現金を取りに戻った事は、今となっては愉快で楽しい思い出です。
という事で今年は、それぞれ多めに現金を持って行くことにしました。
大洗のフェリー乗り場の待合ホールで出発を前に、あるものを発見した信ちゃん(夫です)大興奮!最近増えている有望なスタートアップ企業の中でも大きな注目を集める話題の会社イノカ:
のAI技術応用の水槽です。しばらく張り付いたまま離れませんでした。結婚してすぐ、伊豆の民宿の入り口にあった水槽にサザエをみつけ、サザエの移動(歩行)を2時間近く見続け、「サザエはこうやって移動するのだよ」と熱心に説明してくれた時は、「この人は何者?」と思いましたっけ。
今年のルートのメインは、初めて走る国道40号線です。40号は稚内から旭川までの「宗谷本線」に沿って走っています。
苫小牧₋石狩‐留萌‐天塩‐中川‐士別‐中富良野‐平取。
宿はそれぞれ、次のように予約しました。天塩温泉の「夕映」と最後の定宿2軒以外、どこも初めての宿です。
初日: スーパーホテル石狩:https://www.superhotel.co.jp/s_hotels/ishikari/
2日目:留萌 ホテルニューホワイト:https://new-wh.com/
3日目:天塩 天塩温泉「夕映」:https://teshiospayubae.com/
4日目:中川 中川町公共温泉ポンピラアクアリズイング:https://nakagawa-no-nakagawa.jp/resort/
5日目:士別 士別グランドホテル:https://www.s-gh.co.jp/
6日目から富良野の定宿「富良野ホステル」に4泊して『北の国から』の聖地巡礼。
10日目から二日間は平取町の「くまさん荘」
定宿以外、初めての宿には出発前に必ず2度(問い合わせ時と、フェリーの切符を購入した後の最終連絡)電話を入れて次の4点をしっかり確認します。
1) 入口はバリアフリーか? Google Mapで実際の入り口の画像も同時にチェック
2) バリアフリートイレはあるか?
3) エレベーターはあるか?
4) 車椅子用の駐車スペースはあるか?
今回もこの4点は事前に確認しました。ですが、「エレベーター」の大きさまでは確認しませんでした。以前厚岸の老舗の宿「ホテル五味」の時、エレベーターの小ささに苦労した経験をしていたにも関わらずに。
その結果「本当に有益な経験(と言うよりは辛い・情けない経験)をさせて貰いました」
初日のスーパーホテルにはバリアフリールームがあり、以前宿泊した事もあります。今回はすでに予約が入っていたので一般の部屋に泊まりましたが、特に不便はありませんでした。
場所の地図を見て貰うと分かりますが、海のすぐ近く。周りは大きなコストコの店とガソリンスタンドがあるだけで、なかなか寂しいところです。夕方、ホテルの外に出て「夕涼み」をしながら、圧倒的な明るさを誇る太陽が海へと沈むのをのんびり眺めました。沈んだ後も、まわりの明るさは驚くほどです。
部屋に戻ろうとして、大きな見事な犬と一緒に楽しそうに広い駐車場で遊ぶ壮年の方を見かけました。その姿をしばらく眺めていると、犬を車の中に置いて玄関に戻ってこられました。思わず私が「見事な犬ですね。車で大人しく一人で寝るのですか?」と声をかけ、信ちゃんとその方の会話が始まりました。
その犬はリタイアした災害救助犬で、「熱海の土砂流災害時に活躍した」との事。「可愛くて別れられずひきとり、こうして一緒に旅をしています」
夕食は北海道の一番人気で、一番の数を誇るコンビニで、今も無料のビニール袋に品物を入れてくれる、ホテルへの道の途中にあった私たちもご愛用のセイコーマート:https://www.seicomart.co.jp/instore/hotchef.html のホットシェフでカツ丼を買い、ホテルの1階にあり、なんとお酒も、もちろんソフトドリンクも8時までは無料の食堂で、二人で分け合い食べました。大好きな、必ず買う「フキの煮物」と一緒に。
翌日は左手に日本海を見ながら、オロロン街道を北上しました。
石狩の次の宿がある留萌に向かう前、留萌での夕食用に信ちゃんのリクエストの「筋子おにぎり」を買いに千歳サーモンパークに寄りました。普通の大きさのおにぎりは税込みで268円。倍近くの大きさの「爆弾筋子おにぎり」は確か、560円前後だったと思います。私は筋子が食べられません。信ちゃんによれば筋子のおにぎりは「お買い得だった。おにぎりの値段以上に『筋子』がたっぷり入っていた」そうです。
私たちの北海道の旅には欠かせない、もう一つのおにぎりがあります。それは大洗フェリー乗り場から見える「かねふくめんたいぱーく大洗:https://mentai-park.com/ooarai/」
のジャンボおにぎりです。初めの頃は1つ260円だったと思いますが今は、400円。
ほかほかの出来たては特においしく、翌日のフェリーでのお昼用も含めて4つ購入するのが常です。今回も、もちろん。
2度目の石狩から留萌までの海は台風10号の接近で色はどんよりしていました。それ以上に正直、心が痛んだのは以前も寂しい小さな集落をいくつも通り過ぎましたが今年は特に、本当に多くのそれらの家屋が放置されているのが目に付いた事です。
まず、石狩近郊の人気魚市で知られる「浜益」を越え、手塩川エリアで最大の富豪本間家が130年前に始めた、確か北限の酒蔵で、人気の利き酒で知られる「國稀酒造」
のある「増毛」を越え、3時半頃に「留萌」の宿「ホテルニューホワイト留萌」に到着しました。
駐車場には信ちゃんの名前が張られた赤いパイロンがおいてありました。
そしてそこからが、「なぜこんな苦労を」の始まりでした。
若くて親切な女性のフロントの方がバリアフリートイレの場所を、わざわざカウンターから出て教えて下さり、エレベーターの前へと行きました。ところがそれは、どう考えても電動車椅子が入る大きさではありませんでした。
ここで私は2つ大きなミスをしました。今考えると、信ちゃんが19年前に倒れ、その数年後に電動車椅子を使用するようになって10年以上になるのに、2つの事を思いつかなかったのです。
一つはその後、自分で気づきました。
二つ目は東京に戻り、車椅子の点検に来た女性の方に教えられました。ですが、これもこれまでの経験から、自分で気づいてもいいはずだったと、悔しいです。
とにかくニューホワイトには泊まれないので、留萌の手前の街・増毛で見たしゃれた増毛オーベルジュ:http://www.auberge-mashike.jp/ に電話をしました。信じられないのですが、そこはいり口が階段でスロープがありませんでした。後で、HPを見て、なるほどと思いました。オーベルジュの料理の監修は三国清三:
増毛出身の、顧客には歴代の総理大臣という超有名フランス料理シェフです。
私たちは三国さんとは相性が悪いのです。そもそも止めておけばよいのに、層雲峡から上川へ抜ける時、三国さんの弟子がおいしいイタリアン・レストランをオープンしたと聞きつけ、ランチの値段を聞いて一瞬ひるみましたが、店の窓からの写真を見て、予約をしました。確か、2016年の夏の終わりだったと思います。
生意気を言うようですが信ちゃんがまだ車椅子になる前、ローマから南下してシチリア島のパレルモまでレンタカーで走ったことがあります。おいしくない店もありましたが、シチリアではどこのレストランも美味しかった。特にパレルモの市場でワインの鍋でぐつぐつ茹でられていたタコ。あの味は忘れられません。イタリア料理には、ちょい一家言ある私たちです。
ということで、この店のランチは私たちの口には合いませんでした。ただ、帰り道、窓から見えたひまわり畑に寄ったのですが、そこはまるで南フランスのゴッホの絵のようにな見事なひまわり畑で、「ここまで来てよかった」と思わせてくれました。
で、話を戻します。
次のホテルを探さなければと思っていると、「近くにノースアイ:http://hotelnorth-i.net/ と言うホテルがあります。ツインが空いているが、窓がなく喫煙可の部屋だそうですが大丈夫ですか?」との申し出がありました。信ちゃんは若い頃煙草を吸っていたので私が我慢をすればいいと、「了解」しました。
その部屋は多少煙草の臭いが残っていましたが、思ったほどひどくない。二年前に改装したそうで、何より部屋が広くきれいでエレベーターも大きく、入り口の脇にはコンクリートの坂が作られていました。
もう外に出る気力はないという信ちゃんを残し、夕飯を買いに出かけたのですが、最初に目に着いた居酒屋で素敵な女性に出会いました。その話は「中編」に続きます。
写真は近所を散歩しながら、写真を撮るのが好きな幸せな信ちゃんです。
(2022年4月?)