久しぶりのバス・電車を使っての外出(1)
車を運転している時には、自分が左半身不随の車椅子生活者である事を忘れられると言う信ちゃん(夫です)。仕事柄、私が初めて会った時からほぼ毎日、ハンドルを握っていたような気がします。ですが、いつかは車の運転を辞めなければならない時が来ます。まだちょっと気が早いかも知れませんが私はこのところ、信ちゃんとの外出には,、バスや電車などの公共交通機関を積極的に使うようにしています。
以前にも書いた、かな? 実はしばらく、信ちゃんはバスに乗るのを拒否していました。3年前のことです。
その日バスがなかなか来ず車内が混雑していて、いつもよりもバスに乗り込むのに時間が掛かりました。定位置になんとか収まると突然、車椅子用のスペースの前に座っていた中年の女性が振り向き私たちに、かなり大きな声で言いました。
「みんな急いでいるのよ。あなた、迷惑をかけているのだから謝りなさい!」
私は一瞬呆然としました。女性の怒りは収まらず、なお文句が続きます。しばらく黙って聞いていた信ちゃんが叫びました。
「文句があるなら名を名乗れ!」
すると、後部座席に座っていた別の中年女性が「そうよ、謝りなさいよ!」と合唱したのです。
私はとっさに信ちゃんの耳をふさぎ抱きつきました。絶対に謝るものかと思いながら。
しばらくして「謝りなさい!」コールをした女性二人が次々降りました。
それから2停留所先で後部座席から青年が降りてきて、こう声をかけてくれました。
「僕は謝る必要などないと思います。お気をつけて」
このような一言。ざわついた心には、救いです。
さて、プチ鉄ちゃんの信ちゃんは、鉄道の日を記念して日比谷公園で開かれる「鉄道フェア」には
毎年、天気が良ければ必ず出かけます。日比谷でランチをするのも私たちには大きな楽しみです。今年ももちろん、出かけました。日比谷までは我が家からバス一本で行けます。
お昼はこれまで、日比谷シャンテhttps://www.hibiya-chanter.com/に決めていました。地下にいろいろなレストランがあり、久しぶりの外食を選ぶには格好の場所です。ただ、問題が一つ。地下のレストラン街に行くにはエスカレーターしかありません。
さあて、車椅子の私たちはどうしたでしょう?
これも以前書いた事があるかな。日比谷シャンテほど大きなビルには絶対に、荷物の搬入用エレベーターがあります。どれどれ? 搬入口のドアは、すぐに見つかりました。ついでに、そこに入ろうとした私たちも警備員さんに、すぐに見つかりました。
「地下に行きたいので、搬入用のエレベーターを使います」
この場合、絶対に「使わせて下さい」といわない事。これは、警備員さんを迷わせる問いかけです。「事務所の方で確認します」と言われかねません。そんなの面倒だ。
さて今回は気分も一新、日比谷シャンテの前に新しく出来た東京ミッドタウン日比谷:
でランチをしようと言いながら東京ミッドタウン日比谷の建物に入ったのですが、あまりの混雑に、即退散。古巣の日比谷シャンテの搬入口から地下街にと思って行くと、お、お、お、お。東京ミッドタウン日比谷効果か! 日比谷シャンテがリノベーションされていて、搬入口が取り払われ、私たちがコソコソ(そうでもないか)使わせて貰っていたエレベーターがきれいになって、一般用に変わっていました。
東京ミッドタウン日比谷のレストランはどこも事前にチェックして、「高~いなあ」と思ったのですが、日比谷シャンテの方は以前と変わらぬ良心的値段。特に休日メニューなどなく、車椅子もスムーズに入れたので、好きなカレーの店に入る事にしました。
行きのバスはいつものように、昇降口の脇にしまってあるボックスからスロープを出して来るタイプでしたが、帰りのバスは、スロープが床に埋め込まれていて、簡単に引っ張り出して取り出せる型のノンステップバス。
すべてのバスがこの型なら、「謝りなさい!」と怒鳴られることはなくなるかな?いえいえやっぱり、海外のように、運転手のボタン一つでスロープが出てくるシステムを全てのバスが備える日が来たら、初めて問題解決になるのでしょうね。
日々状況は変化しています。以前の経験に凝り固まり、車椅子の外出は大変だと不必要なまでに身構えるのは止めよう。そう思わせてくれた日比谷行きでした。
その一方で、のん気に出かけたものの、やっぱり車椅子の外出はまだまだ大変だと思い知らされたのが東横線:東横線(各駅情報)|東急電鉄 にのって出かけた渋谷までの外出でした。
大好きな縄文時代の遺跡を巡る映画『縄文にハマる人々』
を見るためです。この夏訪れた縄文遺跡がいくつも登場します。
それまで、上映館イメージフォーラム
では、地下のスクリーンで上映していたのですが、一階スクリーンでの上映が3週目に入り始まったので、早速出かける事にしたのです。
渋谷駅周辺はオリンピックを契機に、大幅な工事がもう何年も行われています。
車椅子でなくても簡単に迷い、簡単に遠回りをさせられる状況です。ですが、それにしても・・・次回に続きます。
友人に誘われて、お台場までサルサの全国大会を見に行きました。激しい舞台もセクシーで魅力一杯でしたが、こうして自分たちの出番を待ちながら一心不乱に練習するカップル。素敵でした。
(2013年10月 東京・お台場)
