どこまでも車椅子に優しい街:バレンシア(2)
バレンシアの公共機関の整備の素晴らしさを(1)で書きました。
今日は信ちゃん(夫です)がバスや市電の乗り降り同様に、幸せにしてもらったバレンシアの車椅子体験があと2つもあるので、その紹介をします。
その前に、バレンシアの市電同様のシステムで車椅子生活者が一人で乗降出来る、ニュージーランド最大都市オークランドの3年前の新車両紹介の画像を見つけたので、是非見て下さい。1分40秒当たりに、車椅子の方が登場します。ポイントは手前のホームと車両の隙間を埋める板が出て来ることです。岡山ではこれが出ません。前回も書きましたが、日本の技術を持ってすれば、このような機能を既存の車両に備えるのは可能だと思うのですが。
2015 new Auckland local electric train
さて、信ちゃんが大喜びした2つの体験―。
一つ目は、バレンシアの歴史を少しひも解く必要があります。
1957年、城を守る堀のように北に半円を描いてぐるりと流れていたTURIA川:
が氾濫し、バレンシアの街の3/4が浸水。400人以上の方が亡くなりました。
それまでも何度も洪水被害を経験して来たバレンシアは、これを絶好の機会と捉え、TURIA川の地中海への流れを南の川へと移す大工事Plan Sur(南計画)を立ち上げ、1969年に完了。TURIA川の水が消えました。
徳川家康の最大の功績と言われる「利根川東遷事業」:利根川東遷事業 - Wikipedia に類似したコンセプトだと思います。
水が流れなくなったTURIA川跡をどう活用するか?
市は最初、将来のためにと高速道路建設を計画しましたが市民が大・反・対。議論は紛糾しましたが最終的には市民の意見が通り、地下に地下鉄を通し、川跡を緑の公園とすることになりました。
こうしてバレンシアの長年の頭痛の種だったTURIA川は、世界でも類を見ないナ・ナント10キロ続く見事な緑の公園に変身しました。
何本もある一般道路からのスロープを降りて行くと、そこは車椅子の散歩天国です。
Valencia Jardín del Turia
今話題のAirbnbから申込んだ宿が近かったので、信ちゃんとは何度も朝夕、公園に散歩に出掛けました。サンドイッチとポットを持ってお昼を食べにも行きました。カフェも数軒あるので、いつでもお茶やお菓子を楽しむ事が出来ます。
2つ目の信ちゃんが大いに喜んだ事。それは市電に乗って20分ほどの所にある、地中海の海岸での体験でした。まずは、このUtubeを見て下さい。ほぼ私たちが市電から降りて海岸に向かい目にした景色を紹介してくれています。
1分50秒あたりから登場する、海に向かってずらりと並ぶレストランの一つで、おいしい魚介パエリアをほおばりました。
Valencia beach (playa, spiaggia, plage, strand, platja)
信ちゃんが大喜びした体験は、地中海を見ながらの美味しいパエリアではなく、次の海岸のビデオのちょうど21秒あたりの画面左に登場する、男性たちが歩いている木製の道です。
どこの海岸でもこれまでの信ちゃんは、自分の車椅子で砂浜を進むことは不可能でした。ですが、今回信ちゃんは無事、砂浜を進み、水際近くで日光浴をしている女性たちの姿を近くで見る事が出来ました。それは・・・男性たちが歩いている板張りの道が、海岸近くまで敷いてあったからです。
Beautiful Girls On The Beach 2018
それは信ちゃんにとり、車椅子生活者になってから初めて自分の車椅子で海に向かって進み、海を近くで見る事が出来た極上の時間でした。
日本のさまざまな海岸にもこのような板の道を砂浜に敷いて貰えたら嬉しいのですが・・・。
バレンシアを語る時、パエリア - Wikipedia を忘れてはなりません。パエリアはバレンシアが発祥の地ですから。今回10日の滞在中私たちは、レストランで4回パエリアを食べました。注文は通常、二人分からなので、いつも食べきれず残りをテイクアウトしたので結局、8回食べた事になります。
これは、私たちが学んだパエリア料理学校のあるクラスを紹介したビデオです。ヨーロッパ一のバレンシア中央市場に食材を買いに行くとこから始まり、出来上がるまでの内容ですが、これとほぼ同じ体験を信ちゃんと私もさせて貰いました。楽しかった!
お時間があったら、是非最後までご覧ください。
Paella Cooking Class in Valencia Spain
青森・津軽鉄道の津軽五所川原駅で「走れメロス号」に乗る所です。駅員さんたちの自然な対応に、私たちは肩身の狭い思いをする事はありませんでした。
(2013年9月 青森・五所川原)
