私はチアリーダー(2)
「旅に出かけたいけれど今一歩踏み出せない」
そんな方々のキーワードはチアリーダーだと前回書きました。
そ・の・こ・こ・ろ・は?
「いつでも、自分にとって一番大事な事、一番やりたい事をやりなさい。相手の為なんて親切ごかしで自分を納得させた、中途半端は駄目。迷ったら、やらない事」
明治生まれの祖母にいつも聞かされていた言葉です。
「家族の間ではわがままを通してもいいけれど、仕事では、人に迷惑を掛けない限り」という但し書きが、も・ち・ろ・んついていましたが。
祖母の言葉を忠実に守って私は今まで生きて来ました。なあ~んて事はありませんが、信ちゃん(夫です)との間ではお互い、自分の気持ちを第一優先させて来たと思います。「相手が乗っていないな」と感じたら、全力で「その気にさせる」努力も忘れずに。
で・・・・チアリーダー
このブログを読んで頂いているということは、みなさん、いろいろな形で車椅子と関わられている、または関心がおありですよね。そしてどなたも、心優しい方たちだと思います。
ですが、この「心優しさ」。私には「危険」な言葉です。
何故か?
今年の前期流行語大賞に選ばれた「忖度(そんたく)」忖度(ソンタク)とは - コトバンクと繋がると思うからです。外国の方が「忖度」は英語にならない、日本特有のずるい言葉だと言っている記事を読みました。ずるいというのは言い過ぎです。ですが、相手に判断を委ねて自分の気持ちを突き詰めない、都合の良い言葉でもあるとも思います。「心優しき」人は、相手の気持ちをまず思いやる。というか、思いやる事が自分の判断と確信を持つ。でも実際には、ケース・バイ・ケースですよね。信ちゃんの4代目のケアマネージャーの話を思い出して下さい。
あっ・・話が飛びました。で、チアリーダー
チアリーダーは忖度しません。
そこが重要なポイントだと私は思います。
チアリーダーは、チアする:相手を元気づける、勇気づけることだけに専心・邁進します。
極端に言えば、元気づけたい相手が元気になるかどうかは二の次。元気になったら、それはプラスアルファーの贈り物。基本は、ひたすら自分が好きなように相手の回りでチアし続ける。チアをして1度や2度プラスアファーの贈り物がなくてもめげず、ぴょんぴょん飛び跳ねる。
私は、初めての車椅子旅行の前、信ちゃんの周りでぴょんぴょん飛び跳ねました。信ちゃんと一緒に旅行が出来ると考えるだけで、計画を立てるのが楽しい。信ちゃんと旅行をする自分を想像するだけで嬉しい。幸せだ・・・ぴょんぴょん。
飛び跳ねる私を見て信ちゃんは、私を「がっかりさせたくなかったからかな。頭から、僕が一緒に行くと信じているし、嬉しそうで楽しそうだったから」と言いました。
そこです。ぴょんぴょん跳ねる私を見て・・・
信ちゃんは、初めての一泊車椅子旅行の私の誘いに、忖度したのだと思います。
初めての一泊車椅子旅行で宿泊したビジネスホテルでの朝。ロシア人のダンサーと思しき数人が近くで食事をしていました。彼らを二人でなんとなく見ていると、慣れた手つきで女性の一人が、いなり寿司にジャムを付けて、おいしそうに頬張りました。思わず信ちゃんと、顔を見合わせました。
「いなり寿司にイチゴジャムつけてる!」
これは、旅に出たからこそ出会えた場面です。信ちゃんは、「いなり寿司とジャム」には大いに刺激されたようです。家でのんびりするのも好きだけれど、外に出て行かなければ「いなり寿司にジャムを付けて食べた」ロシア人であろう女性は目撃出来なかったねと、今もときどき話題になります。「美人だったよね」とも。
2005年11月・・・脳出血で1月15日に倒れ、リハビリ病院から退院して4カ月後の清澄白河のビジネスホテルに泊まる一泊旅行でした。12年前になります。
以来車椅子旅行を続け、必ず面白い出会いがあると信じてキョロキョロしています。
筑波の紅葉が見たいのと大好きなれんこんを食べに、れんこんの生産が日本一の土浦に、11月5日に一泊旅行を計画しました。
チアリーダー、頑張ります。
(2008年11月の金沢です)
