Stockholm Food Tourへの道のり:パスポートをゲット
パスポート申請の一週間後、パスポート受領のために再び、有楽町の交通会館にバスで行きました。
「とんかつが食べたい」信ちゃん(夫です)でしたが、交通会館地下一階の店は、いずれも狭く車椅子では入れそうにありませんでした。ですが・・・申請の後、バス停のある日比谷公園に向かい、満開の桜を楽しみ、偶然遭遇したフードフェスタで、「とんかつを食べなかったおかげで」いろいろと美味しいものを屋台で楽しみました。
信ちゃんに「何を食べたい?」と聞かず、自分が食べたいものを先に決めて「いい?」と聞けば、これまで嫌だと言われたことは一度もありません。車椅子になる前からです。なので、パスポート受領の時も、「何を食べたい?」と聞かなければよいようなものですが・・・私っていい人?
信ちゃんに何気にいつものように聞きました。「何にする?」
「とんかつ!」
ま・た・で・す・か。
いつもあっけらかんとノー天気な信ちゃんは、申請の時に見た「とんかつの店」の入り口も店内も狭く、車椅子では入れないのが明らかだった事を、幸せな事に「コロ」っと忘れたのでしょうか。「地下のお店、おいしそうだったね」と言いました。
私はブツブツ言いながら、電動車椅子の後を追います。信ちゃんは嬉しそうに、先を行きます。「とにかく、もう一度見に行こうよ」
何軒かある中から、信ちゃんが目をつけた店の前に到着しました。
すでに先客が並んでいます。老齢の男性二人。一人がカウンターの中、一人がカウンターの外。店内担当のおじさんは私たちを見ると「車椅子はだめだめ」と言い、気ぜわしく店内にもどりました。
「手前のスツールで大丈夫? 座れる?」と信ちゃんに確かめると、信ちゃんは「大丈夫」と答えました。
店内に顔を突っ込み「夫は立ち上がれます。スツールにも座れます」と声を掛けましたが、おじさんは手を休めず、「だめだめ」と再び言いました。
私はその言葉にカチンと来ました。とは言え、手前に3つ並ぶスツールでなければ信ちゃんは座れない。奥へは進めない事も分かっていました。
「手前のスツールが空くまで待ちますので、よろしく」
他のお客さんにも聞こえるように少し大きめの声を掛けると、おじさんは私のしつこさに諦めたのか、三度目の「だめだめ」はありませんでした。
何人ものお客さんが先に店内に入り、私たちは結局、手前のスツールが2つ並んで空くまで15分ほど待ちました。スツールが空くとおじさんは、「だめだめ」と言った事などすっかり忘れたように、「お待たせ」と、自然に店内に案内してくれました。笑顔ではありませんでしたが、思いやりは感じられました。感謝!
正直、私は特においしいとは思いませんでしたが、750円のロースカツ定食を信ちゃんは、「昭和のとんかつだ」と嬉しそう。二人で幸せな気分で店を出ました。
これまで何度も書いてきたように、車椅子だ・か・ら・だめだと言われても、別の方法でアプローチをして、諦めないがモットーですが
残念ながら大嫌いな言葉―「仕方がない」を受け入れざるを得ない事もあります。
マンチェスターまで行くのだから、もう40年、「行こう」と言っていたゴットランド島ヴィスビューにも行くことにしました。『魔女の宅急便』の舞台のモデルとなった、バルト海に浮かぶ世界遺産の城壁の街です。
なぜヴィスビューに? それは次回に。
アナハイムのディズニーランドでは、ほぼあらゆるライドに車椅子で乗れました。シンデレラ城のような階段の所は、一階の小さな部屋で城内がどうなっているか、ビデオで見せてくれました。車椅子になってから、日本のディズニーランドには行った事がないので、日本はどうなのでしょう。
(2009年 サンディエゴ・ロサンゼルスの旅)
