車椅子旅行は楽しい!

パッケージ旅行とは違う、「個人でプランを立て」「自由な発想の」「安上がりな」「車椅子旅行のススメ」
「車を運転している時は、自分が左半身不随であることを忘れられる」と言う、17年前に脳出血で倒れ車椅子生活者となった夫との車椅子旅行は、幸せの宝庫です。

初めての車椅子旅行(私たちの場合)(1)

初めての車椅子旅行を敢行する前に確認した事
 信ちゃん(夫)が脳出血で倒れたのは2005年1月15日です。6か月(今は最大5か月だそうですが、11年前は6か月でした)の入院の後、自宅に戻ったのは暑い盛りでした。近くに大きなスーパーがあったので、信ちゃんの意向に関係なく私が涼みたくてよく車椅子を押して二人で出かけました。そこで思い知った事。
(1) 外出しただけで不安が増すのか、トイレに即、行きたくなる。
(2) 温度感覚が健常者とは異なるので、私がちょうどよいと思う温度を、「寒い」と感じたり「暑い」と感じたり、ころころと感覚が変わる
(3) 前から人が来ると、私としてはかなり余裕をもって脇を通っているつもりだが、「危ない! ぶつかる!」と叫ぶ。


 まず(1)のトイレですが、大きなスーパーだったので、車椅子トイレはありましたが、あるのは7階。エレベーターに乗り「7階まで我慢してね」と言うと、さすがに家を出る前にトイレを済ましているので、どうにか我慢をしてくれます。悲劇は、先客が居る時です。そうなったらなりふり構わず車椅子を押して男子トイレに入って行きます。中のみなさんは「ギョ!」。私も「ギョ!」
 最近は「僕が押してゆきますよ。奥さんは外で待っていて下さい」と言って下さる男性が増えました。ありがたい事です。


 (2)については、毛布とショールを持ち歩いて対処しました。しばらくして信ちゃんが私よりも、「冷えるのに時間がかかる」し「暖まるにも時間がかかる」事を発見。ちょっとでも温度が低すぎるかなと思ったらまず足の上に毛布をかけました。その後、まだ寒いようだったら大判のショールです。


 スーパーの通路はなかなかの危険区域です。子供たちが走り回っている事があります。最初はなんとか避けようと自分の方から車椅子を動かしていましたが、しばらくして方針転換。走ってくる子供を見たら早めに「走るんじゃない」と大声で言うことにしました。回りが驚いてこちらを向き、道を空けてくれます。そこをしずしずと信ちゃんの車椅子を押して私は進みます。


 「この3点を克服出来れば車椅子旅行はなんとか出来るはずだ」と考えた私は、改めて(1)信ちゃんのトイレの間隔を観察し、「1時間少々なら我慢が出来る」と確認。(2)温度感覚はとても「予測不能」なので車椅子にリュックを括り付けて中に常に大判の厚地と薄地のショールを二つ携帯し、
(3)「大丈夫。ぶつからないから」と声を上げながら進むことにしました。この「ぶつかる。危ない!」感覚は、11年経った今も残っているようです。結局のところ、車椅子に座っていると視点が低いので、信ちゃんが慣れることはないのかもしれません。


 最初の車椅子旅行はどこにするか? あまり遠くに行けない。でも旅行なのだから外泊はしたい。そこで都内に1泊するプチ旅行を決めました。行き先ですか? その前に予算をきめなければ。
 (1)予算は二人で1万円以内。
 (2)交通機関に乗る時間は1時間以内。
 結果、ちょうど旅行サイト「じゃらん」を見ていて、我らが駅から地下鉄1本で行ける場所に「新規オープン・特別価格朝ご飯付き・一人2,900円」のビジネス・チェーンホテルを発見。出かけてゆくことにしました。


 信ちゃんには、すべて事後承諾です。旅も3年目辺りから相談するようになりましたが、最初は「相談なし」。決行あるのみでした。その結果はいかに???

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