常識回避で、楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその3
しばらく投稿を休んでいました。インフルエンザではありませんが、風邪を引き、咳が止まらず、声が出ず、苦しかったです。
2017年の我が家のスローガン:幸せは常に、常識外から生まれる
楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその1:
「車椅子では無理です」と言われても、相手の言う事をそのまま鵜呑みにしない。
楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその2:
YESかNOで終わってしまう質問はしない。
楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその3
質問する相手を間違えない。
さて、私たちの最初の車椅子海外旅行はラスベガスでした。信ちゃん(夫)の仲間二人が展示会イベント見学をすると言うので、貼りついて行きました。信ちゃんはその時の事を、ほとんど覚えていないそうです。それでも、大きなロブスターを食べたとか、ネオンが華やかだったという記憶は鮮明で、何よりも、飛行機に乗って車椅子旅行をやり遂げた、という自信がついたこと。そ・れ・が・大事だったと言います。
「また、海外旅行に行きたいね。ラスベガスの次はどこにしようか?」と、深く考えずに聞いたところ、間髪入れず、信ちゃんが答えました。
「リバプール!!!」
ビートルズ世代ど真ん中の信ちゃん。特にジョン・レノンが大好きで、ずっと、いつかリバプールに行きたいと思っていたそうです。
リバプールは遠いです。
ロンドンに暮らす30年来の友人に問い合わせた所、「イギリスの列車の旅はいいよ。なんたって、大英帝国が誇る、輝かしい鉄道の歴史がバックボーンだからね」と言われ、即、私たちはその気になりました。私たちは「なんちゃって乗り鉄」です。
早速信ちゃんはネットで「イギリス鉄道の旅」という本を手に入れました。
私は、いつものように「イギリス鉄道の旅 ブログ」で検索しました。「車椅子」というキーワードを入れても、残念ながらヒットしませんでした。車椅子でイギリスの鉄道旅を楽しんだ人は、まだ少ないようです。
ですがもちろん、われらが「空飛ぶ車椅子Kijiさん」のブログには、しっかり鉄道だけではなく、イギリスのバリアフリー事情が紹介されていますので、木島英登バリアフリー研究所/イギリス/バリアフリー写真 チェックをお忘れなく。
ヨーロッパ鉄道旅行の強い味方、ユーレールパスのイギリス国内だけの、鉄道周遊券もあります。
イギリスの鉄道旅は、日本の鉄道旅とは大きく異なる点が2つありました。
1) 構内の車椅子用のトイレにカギがかかっている。
キングクロス駅など、ロンドン市内の大きな駅だけではなく、地方の乗り換え駅でも、改札口で鍵を借りなければなりませんでした。私たち旅行者には、厳しいルールですが、イギリス在住の車椅子生活者は申請すると、全国共通のトイレのカギが貰えるようです。
この方式も、なかなか面白ですね。
カギを貰いに行くと必ず、「カギを閉め忘れないように」と念を押されました。ホームレスがトイレを占領するケースが多いから、との事でした。
2) 事前に車椅子であることを駅に連絡しないと、切符を持っていても、長距離列車に乗車出来ない。
そんな~、ですよね。
駅に着くと必ず、事前に電話連絡されましたかと、聞かれました。自分で電話するのは難しいので、いつもホテルのフロントに頼んで翌日の連絡をお願いしました。
グラスゴーとエディンバラ間は、予約なしで乗れました。
ヒースロー空港から市内まで、予約は必要なないと思ったら・・・一般の自動改札口が車椅子には狭すぎ、車椅子用の改札口を開けて貰いたいのに、駅員さんが見当たらず、大慌てしました。い・や・は・や。
苦労したと言えば苦労でしたが、ひとたび列車に乗り込むと、実に乗り心地がよく、イギリスの鉄道旅。ドタバタ苦労体験も含めて、お勧めです。
風邪も治ったことだし、今日はちょっと、自慢話をしても良いですか?
せっかくイギリスまで飛ぶのだから、リバプールだけではもったいないと、エディンバラにも足を延ばしました。
エディンバラ城をじっくり時間をかけて見学して入り口まで城を降りて来た時、信ちゃんが声を上げました。「途中で寄ったカフェのトイレに、杖を置いてきちゃった」
えっ!えっ!えっ!えっ!
この写真だと入り口が階段になっていますが、裏から車椅子で入れた記憶があります。
信ちゃんを入り口で待たせて、一人で城に戻り杖を取りに行くことも考えましたが、海外で信ちゃんを一人にしておきたくない。そこで私の頭がフル回転して・・・
町中に戻り、新しい杖を買う事にしました。
杖は、どこに売っているでしょう?
町を歩いている人を観察。杖を持っている人を見かけると走って行って、売っているであろう店を教えて貰い、3か所。デパートのようなところを回りましたが、ありませんでした。
普通のイギリス人が杖を持っている情景を、必死で頭の中に思い描きました。
その時、思い出しました。イギリス人はハイキングが大好き。杖を持って山を歩く写真や絵画がたくさんあるではないか、と。そこで、ハンティング用品の専門店を教えて貰いました。ハイキング用品ではありません。ハイキング用品の専門店はないと、言われました。
さ・あ・て・・・有名ブランドのハンティング用品専門店。店には、杖がありました。しっかりした防寒シャツも揃っていました。奥には、ずらり、銃が並んでいました。
その時買った杖は、使いにくいと、今は我が家の飾り物になっていますが、防寒シャツは今年の冬も、しっかり活躍してくれています。
車椅子旅行先で思いがけない展開に遭遇したら、通常の方法・発想で対処しようとしない。
杖をトイレに忘れたら、常識では忘れた場所に杖を「取りに帰る」。
ですが要は、杖があればいいのだから、どうやって杖を手に入れるかだ・け・を考えればよい。
私、小心者ですが、最後は世の中、なるようにしかならないと考えるキャラでよかったです。
ジョンの叔母さんの家の裏にあった、ジョンが良く遊んだと言う孤児院「ストロベリー・フィールド」
(2008年8月リバプール)
