常識回避で、楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその2
2017年の我が家のスローガン:進化は常に、非常識から生まれる
楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその1:
「車椅子では無理です」と言われても、相手の言う事をそのまま鵜呑みにしない。
楽しい車椅子旅行のススメ:ルールその2:
YESかNOで終わってしまう質問はしない。
「車椅子旅行」を心から楽しむには、リクエストを伝えた相手に、ルールその1:「車椅子は無理です」と言われても鵜呑みにしないで、ルールその2:「YESかNOで終わってしまう質問をしない」で、相手に代案を提案をしながら求める答えを得たいものです。
どうして確信を持って、「YESかNOで終わってしまう質問はしない」と言えるのか。それには、次の投稿で紹介した、NYで働いていた親友のエピソードを話さないと。
親友は自分の目標をしっかり見定め、会社勤めをしながらせっせと貯金に精を出し、まずNY大学に入学して目標に向かい勉学に励み、希望の就職先でしばらくインターンを経験してから本採用となりました。私の自慢の友人でしたが、少々、変わり者だったとも思います。
平均的日本人より愛想がないとでも言うのでしょうか。私のような八方美人
ではなく、ダメなものはダメ、嫌な事は嫌と言える女性。NYで一人生き抜くにはあのぐらいの強さとがないとねと、信ちゃん(夫)とよく話したものです。
そんな彼女とのある日の何気ない会話。
「私もNYに住みたい。どうすればいいでしょうとよく聞かれるの」
「でしょうね」
「何をしたいのと聞くと、具体的じゃないのよね」
「具体的って?」
「予算はいくらで、どのくらいの期間、どこに住みたいのか」
「何をしたいかだけではなく、そこまで具体的に?」
「そう。いろいろと前もって考えないとね」
「そ・ん・な・こ・と、最初からわかっている人なんていないよ」
これは、20年以上前の会話です。
現在のように、ネットから有り余るほどの情報が得られる時代ではありませんでした。
「もちろん。分からないと思う。だから、何をするのでもなくただNY暮らしを体験したいと言うのなら、それならそれで、『私もNYに住みたい。どうすればいいでしょう』なんて聞き方をしないで、シンプルに具体的に聞けばいいのよ」
「例えば?」
「夏に3週間ほどアパートを借りてブルックリンに住みたいのです。50万円貯めました。足りますか、って」
「そりゃ、大変だ。ちっともシンプルじゃないよ」
「NYに住むのって大変なんだから」
「は~い」
親友は、とんでもなく実利的で現実的で論理的に出来ていたのかなあ。頭の中に情報gが一杯詰まっていて、自分で答えられない質問の答えは誰にきけば、どこに聞けばよいかというノウハウをしっかり身につけていました。
中途半端な質問は、「そうねえ」とそっけなくかわしながら、具体的な質問に対しては誠意をもって詳しく、丁寧に答えていました。
ということで、具体的な答えを得るには
「YESかNOで終わってしまう質問はしない」ことが大事です。
そして、それ以上に大事な事。それは・・・
誰に質問するか、です。
旅行先での質問、特に車椅子旅行での質問は、質問相手を間違えると、要領の得ない答えしか返って来ません。
前回お話した、香港のパッケージ・ツアーであてがわれたホテル部屋のアップグレードを試みた時の事。ルール2通りに、「差額をいくら払えば夜景が見られる部屋に替えて貰えますか?」と具体的にフロントの若い女性に聞きましたが、「アップグレードは出来ません」と断言せず、「アップグレードは出来ます」とも明言しません。
彼女にはアップグレードを受け入れるか受け入れないかを選ぶ決定権がない。
私が、交渉する相手を間違えたのです。
その時また、思い出しました。ホテルで何か頼みたかったら、出来るだけ偉い人と交渉することと、どこかで聞いたことがありした。そこで周りを見回すと、Managerと書かれた席に、紳士然とした男性が座っていました。一瞬ひ・る・み・ましたが、そうそう香港に来られない。夜景も見逃せないので、腰が引けながらも踏みとどまり、近づいて行きました。
こちらの意向を説明すると・・・
「1)大丈夫だと思いますよ。2)部屋によりお客様が差額として支払われる金額にかなりの幅がありますが、まず、3)空いている部屋を調べましょう。4)夜景が見えれば高層階でなくてもよいですね」と、すぐに電話を取り上げてくれました。支配人ともなると、対応は簡潔で明快で具体的です。私たちの懐具合も、あうんの呼吸で察してくれました。
1)最初の質問「アップグレード」が出来るかどうかをはっきりさせ、
2)部屋によって私たちが支払うべき「差額」が異なると説明して、私たちの選択余地をのこしながら、
3)空いている部屋がなければ話が進まないので、部屋の空きをチェックする。
4)そしてさりげなく最初から、一番安い差額を払えばよい部屋をお探ししましょうと提案する。
プロですね。
「鰻、何にします? 松・竹・梅・とありますが?」と聞かれると、梅で十分だと思っているのに松は止めても「竹」にしてしまう習性。誰にもあります。
疑問が湧いた時に質問する相手をを間違えると、いつまでたっても答えにたどり着けません。大事なのは、決定権を持つ人を捕まえる事です。
質問をする相手を間違えない。
車椅子旅行を楽しむには、忘れてはならないルールです。
今にも「ジキル博士とハイド氏」に出会いそうな、原作者スティーブンソンの家がある、ジョージアン朝時代の建物が並ぶ通りの夜。
(2008年9月 エディンバラ)
