車椅子旅行の贈り物: 不動産屋さんになるのだ!
ひろみさんの身近に居た「信ちゃん(夫)と同じように脳出血で倒れたが、現在はもう仕事に復帰している人」はひろみさんの不動産屋さんでした。
そ・し・て・・・コンビニの朝から三日目。信ちゃんが倒れてあと一日で一週間という朝、何の前ぶれもなく、不動産屋のご夫妻が揃って、信ちゃんの病室に入って来られました。(車椅子旅行の贈り物: ひろみさんの不動産屋さん - 車椅子旅行は楽しい!)
ひろみさんから聞いていたように、お二人は「自分たちの経験をみなさんに役立てたい」と、何度もおっしゃいました。
ご主人は「今の時期、僕よりも君の方がいろいろとお話が出来るのではないか」と言い、私は奥さんと話し始めました。
この先私が経験するであろう様々な状況の例を上げ、どのように自分が対処したかを、非常に具体的に、奥さんは話されました。「こうすればいいですよ」とは一言も言わず、「私は、こうしました」との説明は、私の心にストンと入って来ました。
その後私は何度も、奥さんに電話をしました。
その時はまだ、信ちゃんのリハビリ病院が決まっていませんでした。
「専門家に話を聞きに行きましょう」とご主人は自分の車で、ご自身のリハビリ科の担当医にアポを取り、同行して下さいました。
あれから11年。お二人の事を話題にする事も少なくなりました。お二人への・・・
恩・返・し・・・それは、私たちが他の方たちの「不動産屋さんになる」事だと思い続けています。
信ちゃんはお二人の病室訪問の事を、ほとんど覚えていません。
「曲がったまま固定した足で、杖を使わず、しっかり歩いていたね。いつか僕も歩けるようになるのかなあ・・・と、漠然と見ていた」
そうだよ、信ちゃん。今はまだ足の装具と杖が必要だけれど、必ず自分の足だけで歩ける日が来るのだ!!
そしてまた、サハラ砂漠にラクダに乗りに行きましょう。
(2003年1月 チュニジア・サハラ砂漠)